一部マニアの間ではすっかりお馴染みの、『ママチャリで日本一周中の悪魔』こと大魔王ポルポルさん。まさかの大苦戦となった博多の「バカ盛トルコライス」の次に挑んだのは、佐世保名物・ハンバーガーの超巨大バージョン。再びの大食いチャレンジに、悪魔の胃袋はもう崩壊寸前!?
直径30㎝! アメリカ人すら驚くビッグなバーガー
毎日のように公園で野宿をしている大魔王ポルポルであるが、木々が葉を落とし始め、少しずつ冬の風が吹き始めると、大魔王といえど風邪をひきそうになる。
大盛りのトルコライスを制し博多を越えた魔魔チャリ(ママチャリ)は、佐賀県の伊万里市や有田町を通り、長崎県の佐世保市へとやってきた。
「がッハッハッハ!! せっかく佐世保に来たのだ。佐世保バーガーを魔界バーガーへと支配しようではないか。」
佐世保といえば佐世保バーガーが有名である。大きなパンにジューシーなお肉が乗ったバーガーは、我輩といえど、食べごたえ抜群の予感がする。大魔王はさっそく「佐世保バーガー」を「魔界バーガー」に変えようと、佐世保バーガーのお店を探した。
佐世保市というのは、山が海に沈んでできた街だ。平地が少なく魔魔チャリ(ママチャリ)では不便な道が多い。そして、海上自衛隊と米軍基地が存在している不思議な街でもある。そのため、アメリカン仕様のビッグサイズな料理が出る店も珍しくない。
「さ……さむい……我輩の魔力をもってしても日本の冬は寒いというのか……がッハッハッハ!!」
ブルブルと震えながら、大魔王は坂道を登っていた。手袋、マフラー、ヒートテック2枚。貰った衣類ばかりであるが、それら全てを身に纏い、佐世保の坂を登っていた。有名ファッション誌からオファーがかかってもおかしくないファッションセンス。
「な……なんと坂が多いのだ……がッハッハッハ!!」
魔魔チャリ(ママチャリ)で不便な坂道を上り、ゼーゼー汗をかきながら、大魔王は一軒の佐世保バーガーのお店を見つけた。
店には「サンドウィッチ・ロン」と書いている。パンといえば、神戸でもカルボナーラパンを制したが、それ以上のものを佐世保の名物である佐世保バーガーは期待していた。
「ガッハッハッハ!! 遂に見つけたぞ。これから佐世保の名物、佐世保バーガーは魔界バーガーとなるのだ。がッハッハッハ!!」
と、店の前に立ち、誰にも聞こえない小声で叫んだ。
「とりあえず寒い。」
ママチャリを店の片隅に止め、ドアを恐る恐る開けた。
「あの、すみません。このお店って大きな佐世保バーガーのお店ですよね?」
店の中に入ると、店員は我輩を見て、ざわつき始めた。
(な……なんだ……こいつは……)
(強盗か……?)
不審がられながらも、大魔王が尋ねた大きな佐世保バーガーとは、この店の名物のスーパーロンバーガーのことで、直径30㎝ほどの巨大な佐世保バーガーである。魔界にふさわしい佐世保バーガーだ。
店員は恐る恐る我輩に近寄ってきた。
「あ……あれ、予約制なんっすよ。」
「な……な……なんだと!! 予約だったのか。がッハッハッハ!!」
あまりの衝撃に我輩も動揺を隠せない。
「すみません、パンが大きいので……。前日までの予約をしてもらわないとパンがないんです。」
「ちっ!! とんだ誤算だったな。がッハッハッハ!! まぁ。今日のところは許してやるか……」
そう思った我輩は、「じゃぁ、また明日に来まーす。」と、明日の予約をして店を後にした。
翌日、佐世保の天気は生憎の雨である。
ザザブリの雨の中、昨日と同じく大魔王ポルポルはサンドウィッチ・ロンへ行った。相棒の魔魔チャリは、濡れるといけないので近くのホームセンターに止めた。
昨日と同じ恐怖を見せつけるために、ビショビショになりながら「昨日は、すみませーん。」と、店の中へと入っていく。店の周りの雨雲が怪しき雲の世界へと誘われていく。ザーザーと降る雨に濡れながら。
お店に入ると、デカいバーガーの中から「スーパーロンバーガーのスーパーハーフ&ハーフ」を注文。
他にもスーパーロンバーガー、チーズとグリルチキンを乗せたスーパーグリルチキンバーガー、グリルチキンとパティの両方が味わえるスーパーハーフ&ハーフがメニューとして並んでいる。こちらのお店では、普通サイズのロンバーガーやグリルチキンバーガーも勿論扱っている。
「昨日はすみません。」
店員は恐る恐る、スーパーロンバーガーのハーフ&ハーフを持ってきた。
「がッハッハッハ!! 待ちに待ったのだ。」
目に映るのは30㎝ほどの巨大な佐世保バーガーだ。それはアメリカ人すら驚くビッグサイズだろう。
「で……で……でか……!!」
あまりの大きさに我輩は戸惑った。こんがり焼けたバンズに、グリルチキンの匂いが我輩に襲い掛かる。たぶん……一人で食べきれない。そう覚悟を決めて、この戦いに挑むことにした。
「こちらのロンバーガーはピザのように三角に切り、8等分にして食べる商品となります。」
「がッハッハッハ!! 素晴らしい。こ、こんな大きなハンバーガーは見たことがないのだ。」
「そして20分で完食しますと、代金がタダとなります。」
「ほう……我輩を試しておるのだな……がッハッハッハ!!」
と、ハードルを低くしながら、
「へぇ。そうなんですね。記事にするのでやります!」
と、バーガーを8等分してスタートした。
まずはグリルチキンから噛み付いた。中には具がたくさん詰まっている、そのバーガーを一口食べて悟った。
「ラスクのようなパンだ! サクサクしていてうまい!」
出来立てのバンズが「サクッ」としているのだ。ラスクのようなサクサク感がバンズから伝わり飽きない味になっている。三角に切られたハンバーガーは少し違和感があるが、サンドイッチ感覚で楽しめる。
「がッハッハッハ!! 我輩はサクッとした食感がすごく好きなのだ。気に入ったぞ。」
そう言って、満足げに食べ進める。
グリルチキンはこんがり焼けていてジューシー。圧巻のバーガーにボリューム満点の食べごたえだ。我輩はとても満足である。しかし! 大魔王の胃袋はブラックホール。
「こんなもので、我輩の胃を満腹にできるわけがない。がッハッハッハッハ!!」
と、1つ目のバーガーを食べ進める。
……気が付くと、残り時間はあと5分となっていた。ようやく8等分のうちの1つを食べきった我輩は、お腹を手で押さえ、店員に質問を投げかけた。
「あのー。お水もらっていいですか?」
結局20分でバーガーは8つ中、1つと半分の支配という結果に終わったが、一瞬でアメリカンな雰囲気を魔メリカンな雰囲気に変えた大魔王ポルポル。
「がッハッハッハ!! 今日のところはコレぐらいで許してやろう」
そんな我輩に対し、「では、お持ち帰りしますか?」と尋ねてくる店員。
(え……全然、食べへんやん……)と思われるとマズイ上に、残ったバーガーがもったいない。大魔王ポルポルは、残り6つの佐世保バーガーを引っ提げて店を出た。
「ふん! 佐世保バーガー! なかなか美味であったのだ。がッハッハッハ!!」
満腹になったお腹を押さえながら、大魔王はママチャリを漕ぎだした。
外はまだ雨が降っている。次は晴れているときに行きたいものだ。佐世保バーガーを支配した大魔王ポルポルはそう思いながら、次はC1グランプリに突撃することをもくろんでいた。
追伸:この6つの佐世保バーガーは、3日かけて制覇したのだ。がッハッハッハ!! だがしかし! 少食ではないぞ。
DATA:
サンドウィッチ・ロン
住所:長崎県佐世保市大和町843-6
営業時間:10:00~売り切れ次第終了
定休日:第2・第4日曜日
『大魔王ポルポルの日本征服の旅』
著者/大魔王ポルポル
日本一周の旅をしている大魔王ポルポルである。旅の裏側、隠れた小話など話したいことは盛り沢山!! だがしかし! タダで公開はできない。メールマガジンで日本のいろいろなことを掲載するのだ。メルマガに記載のアドレスに悩みや質問を送ってくれればメルマガで公開回答するぞ! ガッハッハッハ!!
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