師走は忘年会やパーティーなどで飲んだり食べたりのする機会が増えますね。楽しくてつい飲みすぎてしまう……。なんてこともあるかもしれません。ここでは、そんな時期に取り入れたい、肝臓をいたわるフィトケミカル(植物化学)成分をもつハーブの取り入れ方について、ご紹介します。ハーブは女性のもの? そんなことはありません。飲酒や喫煙などの機会が多い男性に、ぜひお薦めしたいのが肝臓ガードのハーブです。
どうして飲酒は肝臓に悪いの?
遠い昔、学校の授業で習った人も多いと思いますが、肝臓は、おもに栄養分の貯蔵や、脂肪の分解にも関わる胆汁の分泌、体内に入った有害物質の解毒を行う器官として、重要な働きを担っています。
アルコールは肝臓でアセトアルデヒドという成分に分解され、無害化した状態で体外に排出されます。この過程でアルコールやアセトアルデヒドは、肝臓の細胞を傷つけて壊していきます。それでも私たちの体は元に戻ろうとして肝細胞を修復していますが、肝臓にアルコールが入り続けていれば、追いつかなくなり、やがて再生能力の落ちた肝臓は、傷ついたままで正常な働きができなくなってしまうのです。
休肝日を設けるというのは、こうした働きを助けるためなのですね。
肝臓ガードのハーブの手軽な取り入れ方
●ミルクシスル(和名:オオアザミ 別名:マリアアザミ)
ミルクがこぼれたような白いまだら模様の葉が印象的なキク科のミルクシスル。古代ギリシャ時代から肝臓の不調に用いられてきた、歴史の古いハーブのひとつです。種子に含まれる「シリマリン」成分は、肝細胞の細胞膜を保護して細胞を修復させる働きをもっています。種子はとても固く、水に溶けにくい性質なので、ハーブティーより、エキス剤かサプリメントで摂取する方法がおすすめです。必要なときにサッと使えるのも男性向き。お酒を飲む前、または飲みすぎてしまった後などに取り入れ、肝臓のダメージを防ぎましょう。
※サプリメントやエキス剤の使用量は、それぞれの製品の使用目安を参照してください。
※キク科のアレルギーのある方はご注意ください。
●アーティーチョーク(和名:チョウセンアザミ)
イタリア料理で、ワインのおつまみとして楽しまれているキク科のアーティーチョーク。使用部位は葉部で、強い苦みをもつのが特徴です。この苦味成分は消化器系や肝臓の機能を向上させてくれます。また、脂肪を分解する胆汁の分泌を高める働きもあるので、脂っこい料理に一緒に取り入れるのもおすすめです。ハーブティー専門店ではアーティーチョークの茶葉が手に入りますので、好みのお酒をブレンドした、ハーブティーのお湯割りとして楽しむのもいいですね。苦味で飲みにくさを感じるときは、緑茶やレモングラスティー、ペパーミントティーなどで割ると飲みやすくなるでしょう。
※キク科のアレルギーのかる方はご注意ください。
●ウコン(英名:ターメリック)
健康食品やウコン飲料ですっかりおなじみになったショウガ科のウコンは、アジアの強肝ハーブの代表格です。豊富な種類の中で、春ウコンと秋ウコンでは、含有される成分に違いがあり、働きも変わってきます。独特の黄色の色素成分、クルクミンが多く含まれているのは秋ウコン。この成分は肝臓や胆のうの機能を高め、血液中のコレステロール値の調整や、アルコール性肝炎の予防にも働いてくれます。飲酒をする前後にティーやお酒に粉末状のウコンを溶かして飲用するほか、スパイスとして、おつまみの料理に用いてもよいでしょう。
※胆道閉鎖などの胆管障害や胆石のある方はウコンを使用しないでください。
※妊娠中の方はウコンを使用しないでください。
<注意事項>
ハーブを用いた植物療法は医療のかわりではなく、健康の増進や病気の予防に役立てるものです。既存病歴のある方、お薬を服用されている方の使用につきましては医師の指示にしたがってください。体調や体質、利用方法によっては健康を損ねる場合もあります。それぞれのハーブの注意事項や使い方をよく確認したうえ、自己責任で使用するようにしてください。
■執筆者プロフィール
磯部 花央璃(kaori)
JAMHA認定ハーバルセラピスト。AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。JATA認定ハーブセラピスト、ハーブティーソムリエ。日本園芸協会認定ハーブコーディネーター。植物の癒しのパワーを身を以て実感した経験から、ハーブを学ぶ。健康や美容に役立つハーブやアロマテラピーの利用方法・楽しみ方を提案。ハーバルライターとしても多数執筆中。ハーブ&アロマkaori herbalroom主宰。
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