北海道の私立中学校でいじめを受け続けた生徒が退学を余儀なくされたという事件が11月に報じられました。この件ではいじめられた生徒に責任を転嫁するかのような学校側の対応も批判の的となりましたが、実際問題として学校側や加害者の利害関係ばかりが優先されるというのが実情とも言われています。そこで今回は、メルマガ『ギリギリ探偵白書』の著者で過去11年に渡り5,000件ものいじめ相談を受けたという探偵業の阿部泰尚さんと『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』の著者・谷原誠さんに、昨今のいじめの現状とその対策について対談していただきました。前編、中編、後編の3回に分けてお送りいたします。
「いじめ調査の無料化」はどう実現したのか?
まぐまぐ:阿部さんは探偵、谷原さんは弁護士でいらっしゃるわけですが、そもそもどういうきっかけで、お知り合いになったのですか?
阿部:僕が「まぐまぐ!」でメルマガを始めたときに、確か相互紹介を一番初めにお願いしたんじゃないかな。
谷原:でしたよね。
阿部:だから、「まぐまぐ!」が縁の始まりなんですよ。
まぐまぐ:あ、なるほど。それは嬉しいお話ですね!
谷原:メルマガで相互紹介をさせていただいて、その後、それぞれ案件の紹介とか、直接調査の依頼をしたりとか、あるいは法律的な問題をご紹介いただいたりとか。メルマガを通じて、リアルにつながっていったっていう。
阿部:そうですね。比較的……というか、結構お願いすることも多いですし。
谷原:共通の知人が結構いるんですよ。なので、集まった時にお会いすることも多いですね。
まぐまぐ:なるほど。……ご縁が深いということで、ここからはあまりお2人の邪魔しないように、私たちはリアクションに徹したいと思います。
谷原:司会がいないということは、直でやっていいんですか? じゃあ僕から質問しますよ!
阿部:アハハ、マジっすか。
谷原:阿部さんが、そもそもいじめの問題に取り組み始めたのは、いつ頃の話なんですか?
阿部:えーと、平成16年くらいなんで、会社(T.I.U.総合探偵社)を始めて1年目……立ち上げてちょっとしてからですね。
谷原:いじめの問題に取り組むようになった、何かきっかけがあったんですか?
阿部:いじめの被害に遭われている、保護者の方からの依頼がきっかけですね。なんでも学校から「証拠を持ってこい」と言われたらしくて、「いじめ 証拠」とか「学校 証拠」っていう風に、ネット検索していたみたいなんですよ。そうすると、探偵事務所ばかりヒットするんで、いろいろ回ってみたそうなんですけれど、どこもそういうことを想定していないからと、断られたそうです。
谷原:阿部さんのところは、断らなかったんですか?
阿部:うちも最初は断りました。学校なんか入れないからって。でも、かなりしつこく「やってくれ」と言われまして。じゃあ出来る限りやってみようか、ってことになったんですけれど、やっていったら……あれは、万引き強要だったかな。ちょっと普通じゃなかったんです。僕らがイメージしているいじめというものとは異質のものだったんで、これはマズいんじゃないか、と危機感を持ったところがスタートでした。