格闘、シューティング、戦略などの対人ゲームが競技化されたe-sports(エレクトロニック・スポーツ)。これが今、世界で盛り上がっています。
世界各地で大会が開催され、その賞金は1億円を超えることもあり、アジア、北米、欧州の市場規模は約700億円。トッププレイヤーの中には20億以上稼ぐ人も。その流れは日本にも到来し、プロのゲーマーたちを集めて法人化、ついには日本初のプロゲーマー養成専門学校が出来上がるなどの動きも…e-sportsってそんなに盛り上がってるの? そして稼げるの?
そこで今回は、プロゲームチームのDetonatioN(デトネーション)代表・梅崎伸幸氏と、e-sports業界を盛り上げるべく活動しているSANKOの鈴木文雄社長にお話を聞いてきました。そこで分かったのは、e-sportsが盛り上がるのは必然と思えるほどの実情でした。
e-sportsでは日本と海外に大きな差が生まれている
先にプレイする側の視点を知るべく、プロゲームチームのDetonatioNの梅崎伸幸氏にお話をお聞きました。
―梅崎さんは、ゲームのチームを会社化していると聞いていますが、どういった形態をとっていらっしゃるのですか。
梅崎伸幸氏(以下、梅崎):選手たちには従業員という形でお金を支払っています。私は元々プレイヤーで、2012年にワールドサイバーゲームズという世界大会に出場しました。そこで、世界との差を痛感し、非常に悔しかった。そして管理者側になって、自分のチームをトップにしたいという気持ちで会社を立ち上げました。
―法人化するほど収入はあるのでしょうか。
梅崎:会社として、給料、電気代など合わせて維持費は3000万円くらいかかるので、その金額以上を稼ぐ必要があります。近年のe-sportsの機運の高まりと共に、今年は目標資金まで到達することができました。
―かなり稼げるんですね。先ほど、世界との差を痛感したとおっしゃっていましたが、その差とはどういったものでしょうか。
梅崎:全部です! 賞金や大会の質、数等々、コミュニティの発達やリーダーシップをとれる人材など。さらに海外には、大会で勝つために、ゲームの戦略や分析、マネジメントを専門にやっている会社まであります。
アメリカではアスリートビザが発行されるほどまで進展しています。海外で活動していく上で、選手が給料をもらうにはビザがないとだめなんです。
―そこまで職業として認められているんですね。ところで、気になる賞金はどうなんですか。
梅崎:日本では大きな大会で100万円くらいです。世界大会だと、1億、2億という賞金が出ることも珍しくありませんね。
―億の金額が出るんですね!
梅崎:でもチーム戦なので、実際チームでわけるとたいした額にはなりません。その代わりにスポンサーの金額が跳ね上がる。こちらの方がメインの収入になりますね。Logicool Gさん、NVIDIAさん、SanDiskさんなどゲームに使うマウスや、パソコンの部品のメーカーさんがスポンサーの対象になります。
―今後の展望はやはり世界で勝っていくということになると思いますが、それは何年後くらいになるとお考えですか。
梅崎:日本は格闘ゲームでは頂点なんですが、全世界で約7,000万人がプレイしている「リーグ・オブ・レジェンド」というゲームでは底辺だと思っています。海外のトップの知識、技術を日本に持ってきて吸収し、2、3年後には世界で勝てるようにしたいです。
ー2、3年後、楽しみにしております。本日はありがとうございました。
e-sportsの市場規模はアジアでなんと約450億円!
プレイする側は、賞金、スポンサー料でお金を稼いでおり、ゲームといえど完全にスポーツとなっています。次はe-sportsの大会運営などをおこなっているSANKOの鈴木文雄社長にお話を聞きました。どうやら周辺産業ではプレイヤー以上に大金が動いているようです。
―SANKOは、どういう立ち位置でe-sports業界に関わっているのでしょうか。
鈴木文雄社長(以下鈴木):我々は、施設を作ったり、大会を主催・開催し、スポンサーを募り、プロゲーマーが活躍するシーンを作っていくことが仕事です。
およそ4年前に、TVでアメリカの1億円稼ぐプロゲーマーを見て衝撃を受け、広告会社として新しいマーケットをつくりたいという願望から、日本でもやれるのではないかと思いはじめたのがきっかけです。
3年前、千葉県市川にe-sportsができる小さなお店を作り、そして去年、秋葉原に日本初の専門施設「e-sports SQUARE AKIHABARA」をオープン。年間通してのリーグを開催し、スポンサーが付き、決勝戦では有料チケットで約1,000人が集まりました。
ー正直、そこまで日本ではe-sports業界が盛り上がっているという実感が無いのですが、実態はどうなんでしょうか。
鈴木:日本ではまだまだですが、アメリカの市場調査会社Newzooから、e-sports競技人口は推定で全世界7,000万人以上、観戦者は全世界2億人を突破したと発表がありました。実際、私も海外に行って調査していますが、10代〜30代の若者からの支持が凄まじいですね。
市場規模としては、中韓が中心となりアジアで約450億円、北米で約170億円、欧州で約80億円という調査結果もでています(Superdata, e-sports The market brief 2015より)。
ー今後、e-sportsはどういった収益モデルが生まれるのでしょうか。
鈴木:モータースポーツに近いかたちになるでしょうね。モータースポーツは、自動車メーカーの技術開発力を上げるために、タイヤ、エンジンパーツなどの周辺産業が参入。そしてファンがサーキットへ足を運ぶと飲食が売れたりといった流れがありますよね。
e-sportsの場合は、ゲームが流行り、プレイヤー数が広がり、トッププレイヤーが生まれて、競い合うことによって、パソコン、デバイス、周辺機器、半導体などが売れる。競技シーンが流行れば流行るほど、周辺産業も発展するという新たなマーケット・市場を作れると考えています。
ーなるほど、ゲームメーカー、プレイヤーだけが盛り上がるのではないということなんですね。
鈴木:そうです。大会を運営するスタッフもそうですし、機材を動かす人、PCのチェックをする人、マネージメントをする人、解説、審判、などいろいろな職種が必要になってくる。これからe-sports関連の職業がたくさん生まれ始めるでしょうね。
ー若い世代に人気のe-sportsですが、そうした人たちを育成する場としてはどういったものになるのでしょうか。
鈴木:東京アニメ・声優専門学校では、e-sportsの専門課程ができたりしています。その専門学校には私も関わっていますが、プロゲーマーになるためだけでなく、司会や実況、イベントプロモーション、機材やビジネスのノウハウなど、e-sportsに関わる全般を学ぶことができるようなカリキュラムを考えています。
そして卒業後は、学校側にゲーム関連企業を紹介していますし、企業側からも問い合わせが来ています。やはり少子化ですし、ゲームが好きで専門的知識を持っている学生は魅力的に映るのではないでしょうか。
―e-sports業界の未来は明るいんですね。本日はありがとうございました。
日本初のe-sports専門学校で学ぶ意義
聞いてみると想像以上にしっかりとしたビジョンがあり、今後発展していく産業のひとつとしてe-sportsはあげられる業界なんだということがわかりました。
プロゲーマーとしての活躍だけでなく、これから盛り上がっていく産業。だからこそ、今、ゲームについて勉強し、専門知識を持ち、熟成されかけている業界に入ることができれば、そこでの活躍は約束されているようなもの。
ゲームが好きすぎて、ゲームで一生食べていきたいと思っている学生や、進学先に悩む親御さんは、これからさらに熱くなる業界を最短ルートで学べる、日本初にして日本唯一のe-sportsの専門学校を一度覗いてみてはいかがでしょうか。
PR:東京アニメ・声優専門学校