実は、フランスで指紋押捺したのは初めてです。今まで滞在許可申請で指紋押捺したことはありません。
しかし、指紋押捺が義務化された事は知っていたので、これをするってことは、書類は通過したってことだなと判断し、言われるままに押捺し(変な機械だった……)証明書をもらって、さらに待つこと1ヶ月以上。まさかのSMSが来ましたよ。宣伝SMSと間違って削除してしまったらどうしてくれるんだろう。
あなたのカードができあがったので、260ユーロの収入印紙とパスポートと旧カードと申請中証明を持って取りに来なさい。
260ユーロだと? 足元を見るのもいい加減にしてほしいものです。EU統合以来、EU人は滞在許可が要らなくなりましたからね。難民にはお金を取るどころか滞在費を提供しなきゃいけませんし。その分のしわ寄せですかね。ふん。
10年に一度の260ユーロに、嫌味たらたらな私もどうかとおもいますが。
さて、その難民ですが、シリア難民の人の意見に、「フランスには行きたくない、申請が許可されないと聞いているし、フランス人は外人に冷たい人が多いから」というのがあったそうで、今現在、受け入れ先を探して必死なシリア難民にさえ嫌われるフランス人、というのが最近のうちの職場での自虐ネタになっているのですが、実際、難民申請は簡単ではありません。
私もよく知らなかったので、今回ちょっと調べてみました。申請の流れを軽く追ってみますと
1.難民申請可能な移民局へ行く。そこで申請人の出身地、居住地、申請歴などが調べられ、フランスが保護すべき人かどうかが確認される。
2.1がOKとなると、1カ月有効の仮滞在許可がもらえる。同時に、難民保護局への申請書類が配布され、それに記入して配布後21日以内に提出する。
3.難民保護局は書類を審査し(約4ヶ月かかると書いてありますが実際は最低4ヶ月が正しい)通過すれば6ヶ月有効の申請中証明(仮滞在許可)が発行される。
4.最終審査と個人面接、それも通過すれば難民認定。
この間、難民保護施設またはそれに相当する宿泊所に滞在できる(義務ではない)。保護施設に入居しない人(親戚がフランスに住んでいる等)は一日につき11.45ユーロ(月343.5ユーロ)を受け取ることができる。6歳から16歳の子供は、滞在地区の学校で教育を受けなければいけない(権利ではなく義務です、と明記されている)。
また、難民認定後は大人も無料でフランス語講座を受けることができる。最初の書類が通過した後の健康診断は義務、病気になった時の治療費はもちろん無料。6ヶ月の仮滞在許可は労働許可を含まない。
簡単に書きましたけど、この、1~4のどの段階でも拒否される可能性があるんですよね(拒否されたら、家裁に申し立てして、再審査請求ができる)。もちろん、申請者個人の状況により、違いがあるはずですが、とにかく審査が長いのなんのって、認定が下りるまでに2年や3年かかる人も珍しくないようです。
実は、私の職場の2軒隣に、パキスタン人経営の小さな金物屋があって、そこで働いている、やはりパキスタン人のおじさんが、2年前から難民申請中なんです。何度も何度も(ていうかほぼ毎日……)うちの事務所にコピーを頼みに来ています(うちはコピー屋ではないのですが、近所のよしみで)。同じ書類を何度も何度も。あっちに提出、こっちに提出、もう訳がわからないよ、っておっしゃっていました。
去年までは自力でがんばっていましたが、疲れ果ててついに弁護士を雇い、どうやら、やっと、あと一歩で、家族全員に認定が下りる運びになったようです。