中国を牽制すべく開始された米による「航行の自由作戦」。猛反発を見せる中国ですが、『未来を見る! 「ヤスの備忘録」連動メルマガ』では「中国は問題海域の領有権の主張を11月以降に取り下げる」としています。なぜ「11月」なのでしょうか。
南シナ海の米軍艦船派遣で報道されていないこと
最初に、どうしても触れなければならないテーマがある。南シナ海における米軍艦船派遣で、日本ではほとんど報道されていない事実である。まずこれを簡単に紹介する。
米艦船の派遣
すでに散々報道されているが、まず事実確認から始めよう。
10月27日、米海軍横須賀基地を母港とするイージス駆逐艦「ラッセン」は「航行の自由作戦」のもと、中国が造成した人工島の「スービ礁」の12カイリ以内を航行した。
「スービ礁」は中国による埋め立て工事前は満潮時に水没する暗礁で、国際法上、領海は認められない。アメリカ政府は「スービ礁」の周辺は国際水域・空域だと強調しており、中国の主張を認めないとの立場を米艦船の派遣で示した。「ラッセン」は「P8A」や「P3」などの哨戒機を伴っている可能性もある。
さらにアメリカ政府は、国際法で認められるあらゆる場所で飛行、航行し、活動するという従来の方針を強調し、「今後、数週間から数か月の間に、さらなる海軍の作戦があるだろう」と述べて、こうした活動を継続する考えを示した。
中国の反発
一方中国は、国防省の報道官が、27日夜談話を出し、アメリカ海軍のイージス艦に対して、中国海軍のミサイル駆逐艦「蘭州」などが警告を与えたと発表するなど反発を強めており、今後強い非難が予想される。
さらに、中国の政府系メディア、「グローバルタイムス(環球時報)」は英文の社説で次のように激しくアメリカを非難した。
北京は嫌がらせに対抗する作戦を開始しなければならない。まず我々は米艦船を追尾すべきである。もし艦船が海域の通過にとどまらず、活動をエスカレートするようであれば、我が方としては電子的な手段で介入し、さらに我が軍の艦船を派遣し、米艦船に攻撃用レーダーを照射し、戦闘機を飛行すべきである
このように主張し、侵入する米艦船に対しては、中国軍も相応に対応する姿勢を明確にした。