アパルトヘイト撤廃後の南アでは技術者が流出し、国力が低下しているのだそうです。なぜこのようなことが起きているのでしょうか。元建設技術者の加藤健二郎さんがメルマガで現状を記しています。
南アフリカ技術ビジネス
建設プラント技術者を派遣している会社から、南アフリカの現状を聞いた。アパルトヘイト(人種隔離政策)を撤廃したあとの南アフリカは、技術者の流出でどんどん堕ちているという。南アフリカは、豊富な地下資源でアフリカ大陸でもっとも豊かな国だったわけだが、地下資源を採掘するには技術が必要だ。その技術が流出しているのには、治安ではない原因もあった。
アパルトヘイト撤廃後の南アフリカには、企業に対して、黒人を何人以上(何%以上)雇わなければならない、という民族平等にするための法律ができている。そのため、まったく労働力にならない黒人労働者を、企業は抱えなければならない。もちろん、最低賃金は規定されている。その法律をクリアするために水増しで採用された黒人は、働かなくてもクビにされないので、そのことをわかっている彼らは「ほぼ完ぺき」というくらい一切働かないのだという。アパルトヘイト時代に白人オーナーがあまり働かずに搾取していたのは確かだが、それでも、黒人労働者が働きやすくなるようなシステムづくりとか、オーナーとしての管理職とか、やるべきことやっていた。しかし、今の南アの黒人労働者の中には、本当にまったくなにもしないことが当然とおもっている者が増えている、という。
技術者派遣会社の友人は「その発電プラント建設に携われる技術者は南アにいない。いないから、外国から技術者をいれなければならない。しかし、外国から労働者を入れることは、国内の失業率増加につながるから、ということで禁止されている。つまり、ビザは発給されない」という。
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