次が「入社後の受入体制」についてです。
新卒の場合には、入社後研修やオリエンテーションなど、受入体制に気をつかっている会社も多いのですが、中途に関しては挨拶まわり程度だったりします。
ただ、どんなに実力がある中途の人でも、初めてその会社に入社するという意味では、新卒と同じです。会社に打ち解けられるように本人も、もちろん努力をすべきですが、より早く打ち解けるには、受入体制を整備してあげる必要があります。
ある外資系企業では、中途入社用のマニュアルを作成し、社内設備(トイレや喫煙所)の案内だけでなくカフェや飲食店のおすすめスポットまで記載し、初日は必ず、同じ部署の数名と一緒にランチに行くということを実行しているところもあります。
また、なにか困ったときにすぐ相談できるようにメンターを設定したり、他部署との交流を意図的に行うなどの、人的ネットワークを作ってあげる工夫も必要です。
中には「教える時間が無いから」と言う理由で即戦力を期待して、中途採用を行っている会社もあります。
ただ、今までお話したように、それでは採用はうまくいきません。仮にスキルや実績的には即戦力であったとしても、受入側にそれなりの準備や手間は必要なのです。黙ってても実績をあげてくれるわけではありません。
「即戦力」×「準備と手間」で、お互いが協力して、実績につなげていきたいですね。
中途採用は、他社のノウハウを盗むチャンスでもあります。中途入社の社員がせっかく良い意見を言っても「でも、うちのやり方はこうだから」と自社のやり方に固執してしまうのは、非常にもったいない気がします。
なんでも自社のやり方に合わせてもらうというのではなく、ときには他社の良さを活かすために、そのやり方に自社があわせてみるというのも一考してみてはいかがでしょうか。
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