近年、急増しているという、マンションに住む高齢者たちの孤独死。一級建築士、マンション管理士などの資格を持つ廣田信子さんが、マンションでの生活や管理組合の運営などに関する話題を提供するメルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では、一筋縄ではいかないという「高齢者見守り」について、問題を提起しています。
マンションの高齢者見守りは誰のためのもの
こんにちは! 廣田信子です。
先週、ワンルームマンションで車椅子ながら自立して、前向きに生きている高齢者の方の話を書きましたが、実はその前日、仲間との会合で厚労省が進めている「地域で高齢者等のサポートを行う体制づくり」をどう進めるか、ということが話題になりました。
この問題に積極的に取り組んでいる方々からは、行政との連携、地域のネットワークづくり、管理組合の責任等、大きな枠組みに関する話が出ました。
で、「支援の枠組みの中に入るのは高齢者の義務」というような話も出ました。
その話を聞いて、いつも、普通の住民感覚で大事なことを言ってくれるAさんが、また、いい話をしてくれました。
うちの父はマンションで一人暮らしなんだけど、地域包括支援センターの人とかが訪ねてきても、めんどうだから……って出ないのよね。
自分のことは自分で考えるから、放っておいてくれ……という感じで、「いきなりピンポン、ピンポン言われると、今やっていることを中断しなくちゃならなくて、迷惑なんだよね。」って言うのよ。
自分は自分よりずっと若い友人がいるから、気が若くて、自分は元気で、楽しく暮らしているのに、年寄扱いされていろいろ聞かれるのがいやみたいで、「訪ねてくるのも年寄だし」……なんて憎まれ口もきくのよね。
でも、それが父の生き方だし、元気の元だから、そのことで、もし急に倒れて亡くなったとしても本人も本望だろうし、私もそれでいいと思っているのよ。
誰のせいでもない……って。