中国投資銀、それでも日本が加盟を求められる理由は「中国はカネがない」

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中国が主導して設立されるアジア・インフラ投資銀行。日本は参加しておりませんが「置いてきぼりをくうのでは?」と心配しております。アメリカ在住の作家・冷泉 彰彦さんは自身のメルマガで読者からの質問に答える形で、「心配無用」と斬っています

アジア・インフラ投資銀行、日本は加盟をしなくても大丈夫?

Question

shitumon

中国はアジア・インフラ投資銀行(AIIB)に日本が加盟するように誘っています。

参加すれば中国に屈することになりますし、かといって日本とアメリカだけが「カヤの外」というのも、置いて行かれるようで不安です。

どうすべきなのでしょうか?

冷泉 彰彦の回答

余り深刻に考えることはないと思います。
AIIBというのは銀行ですから、カネを貸して戻ってくれば生き延びますし、貸したカネが焦げ付いて戻ってこないようですと、倒れてしまいます。

では、どうして中国は多くの国を誘っているのでしょうか?

それはカネが足りないからだと思います。

覇権を広げるためには子分になる国にカネを融資しなくてはなりません。

ですが、カネが足りないし、万が一の場合に融資が焦げ付いた場合に、自分たちだけ困るのはイヤなわけです。

こういう言い方をすると語弊があるかもしれませんが、下手をすると失敗した「新銀行東京」のような話になる危険性もあります。

またAIIBが世銀やIMFあるいはADBなどと協調して「リスクを広範囲で受け止めれば」安全かというと、例えばリーマンショックやギリシャ危機のように、「カネの凹みが巨大」になると、広く薄く「仲良し同士がおててつないで」いても、その仲良しグループ全体が穴に吸い込まれてしまうわけです。

そんなわけで、余り深く考えずに、通常の経済行為、投資活動として妙味があれば参加し、危険性が大きければ最初からは入らないでおいて、タイミングを見計らって白馬の騎士のように「後だしジャンケン」で行けば良いのではないでしょうか?

同時に、韓国が入ろうが、欧州が軒並み入ろうが、余り気にしないことです。

reisen

『冷泉彰彦のプリンストン通信』

著者/冷泉彰彦(作家)
東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは毎月第1~第4火曜日配信。
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