ニューヨークのすべてのレストランの厨房には中南米の不法移民が働いているって知ってますか? しかも…、それが公然の事実になっているにもかかわらず、移民局が検挙することはないそうです。なぜ?全米最多発部数の邦字新聞「WEEKLY Biz」の発行人・高橋克明さんは、「この国はそうやって成り立っているからとしか説明できない」と言います。
最新ニューヨーク事情 変わりゆく人種構成
『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』 Vol.013より一部抜粋
NYのレストランは何料理に関わらず、すべてがメキシコ料理だ、という笑い話があります。
ニューヨーク市に点在する数えきれないレストランの、その厨房はイタリア料理専門店であれ、フレンチであれ、チャイニーズであれ、日本食であれ、すべて不法就労のメキシコ人で占められています。
おそらく(というか間違いなく)今日のお昼に僕が日本食レストランで食べた親子丼も裏でアミーゴたちが作っているはずです。
その不法移民の正確な数字は計れません。おそらく、こうしているまさに今もアンダーグラウンドから潜ってきています。
労働ビザはなくても、銀行口座が作れるこの国の不思議なルールに寄ることで、故郷(くに)では手にすることのない額を稼いでは、家族の元に送金しています。
この街のすべてのレストランの厨房で中南米の不法移民がいることを、この街の誰もが知っています。公然の事実、と言っていい。
では、なぜ移民局は検挙しに行かないのか。
その理由は「この国はそうやって成り立っているから」としか説明できません。
もし、マンハッタン中のレストランの、その厨房のスタッフすべてを正規の労働ビザ取得者にするとしたなら、レストラン側はお客に提供する料理を今の何倍もの価格設定にしないとペイできません。ビジネスにならない。
ただでさえ世界でいちばん物価の高い街と言われているのに、これ以上、外食の単価が上がるのであれば、誰もこの街に住めなくなってしまう。
「必要悪」という言葉が適切かどうかはわかりませんが、この街がこの街でいる為に、中南米の不法就労者たちが必要とされていることは確かです。
ヒスパニック系が主導を握っていく。そしてその傾向は今後ますます目立つことになると思われます。
このたび、ニューヨーク・タイムズが2013年の白人の死者数が、史上初めて出生数を超えたと伝えました。