いま大きく報道されている「パナマ文書」のリークには、まったく報じられていない裏がありそうだ。
今回「パナマ文書」をリークした「ICIJ」やその親組織である「CPI」の活動資金は、かつて「カラー革命」や「アラブの春」を主導したアメリカ政府系NGOを支援していた団体が提供している。これはアメリカ政府の外交政策を実現するために画策された事件である可能性が非常に高い。(未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ・高島康司)
パナマ文書リークのNGO、資金源は「カラー革命」「アラブの春」と同一
拡大するスキャンダル
今回のテーマは、まったく報じられることのない「パナマ文書」の裏である。
「パナマ文書」とは、租税回避地への法人設立を代行するパナマの法律事務所、「モサック・フォンセカ」の金融取引に関する1977年から2015年12月までの内部文書のことである。
この文書には各国の指導者や著名人の名が記されており、彼らの脱税や不正取引を証明する重要な証拠になると見られている。
これまでに「モサック・フォンセカ」は、税率が極端に低く世界の富裕層の「租税回避地」となっているパナマに、24万社の「オフショア企業」と呼ばれるペーパーカンパニーを法人登記。「オフショア企業」のオーナーとなった「モサック・フォンセカ」の顧客は、「租税回避地」であるパナマのペーパーカンパニーを通して投資を行うことで、本国における租税の支払いを回避する仕組みだ。
この内部文書を最初にリークしたのは、アメリカのNGO、「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)」だ。その後「パナマ文書」は、世界中の100以上に上る報道機関に流出した。「ICIJ」のサイトでは各国の政治家や著名人の名前を公表している。以下は代表的な人物だ。
- アルゼンチンのマクリ大統領
- ブラジル、7党の政治家
- プーチン大統領の友人数名
- 習近平国家主席の親族
- 中国政府高官複数
- キャメロン英首相の亡夫
- パキスタン、シャリフ首相の子弟
- ウクライナ、ポロシェンコ大統領
- アイスランド、グンロイグソン首相夫妻
- シリア、アサド大統領の親戚
- 「バルセロナ」のメッシ選手
文書の公表の直後、アイスランドでは多くの国民が激しく抗議したため、4月5日、グンロイグソン首相は辞任した。
これからさまざまな著名人の名前が公表され、この問題は大きなスキャンダルに拡大していくことは間違いない。
リストに「米政治家は含まれていない」の裏
これがいまのところの事件の全容だが、公表された名前を見るとやはり大きな違和感を感じてしまう。金融取引の内部文書がリークした「モサック・フォンセカ」はパナマの法律事務所である。中南米はアメリカの実質的な裏庭と化しており、政治や経済のあらゆる領域でアメリカとの関係がもっとも深い地域である。
そうであるにもかかわらず、今回リークされたリストにはアメリカの政治家や民間人の名前はまったく含まれていない。リークした「ICIJ」はこれから多くの米民間人の名前を公表するとしているが、それには米政治家は含まれていないとしている。
実質的にアメリカの政治的な支配地域といってもよい「租税回避地」であるパナマでリークした文書に、米政治家の名前が一切出てこないというのは実に奇妙な話である。ホワイトハウスのアーネスト報道官は、米司法省がこれから調査を開始するとしているが、「ICIJ」が米政治家の名前は含まれていないというのだから、司法省の調査でも出てくるかどうかは分からない。
このように見ると、やはり今回の「パナマ文書」のリークは不自然である。報道されているような事件ではない可能性がある。見えない裏がありそうだ。まずは今回の公表に至った経緯を確認してみよう。