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「クリントン相手ならトランプが勝つ」アメリカ大統領選 票読みの結論=子貢

今や佳境に入りつつある米国大統領選挙。その票読みの結論を言えば「大番狂わせ」、相手がクリントン候補なら、「自分の選挙も身内の選挙にも強い」トランプ氏の勝利です。(子貢)

プロフィール:子貢(しこう)
1960年、大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。一部上場化学企業にて約15年間にわたり、国内外の営業部門に在籍、その後は外資系金融機関と個人契約を結び、レポート等の翻訳業務に従事。投資サークル「千里眼の会」の発起人として主宰、現在に至る。

大番狂わせの米大統領選票読み、結論は「ドナルド・トランプの勝利」

アメリカ大統領選挙の仕組み

今や佳境に入りつつある米大統領選挙、二大政党の民主党、共和党とも事前の予想を裏切る展開になっていますが、それでは最終的に誰が栄冠を手にするか、報道機関の記事や解説だけでは理解しづらい面があります。

それもその筈、米国の選挙ほど込み入った制度はなく、加えて全米有権者にとっては、「2年に一度のお祭り」の側面もあります。

ここでは、政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」を参照しながら、大統領選挙を中心に話を進めたいと思います。
リアル・クリア・ポリティクス 2016(Real Clear Politics 2016)
リアル・クリア・ポリティクス 2014(Real Clear Politics 2014)
リアル・クリア・ポリティクス 2012(Real Clear Politics 2012)

米国大統領選挙は、4で割り切れる西暦の年に実施され(今年2016年がまさにそれ)、その任期は4年、従って「4年に一度のお祭り」ではないかと思われる向きもおられるでしょうが、2で割り切れるが4では割り切れない年(最近では2014年、次回は2018年)に中間選挙が控えています。

中間選挙は、大統領選挙がないから見劣りすると思われがちですが、それは的を射た見方ではありません。

まず、連邦下院(定員435名、全て小選挙区制)は任期が2年、従って大統領選挙と中間選挙とを問わず、2年毎に有権者の審判を仰がねばならず、換言すれば2年に1度は必ず、全米規模で選挙が実施されます。

次に連邦上院(定員100名、任期6年)ですが、2年毎に約3分の1が改選されます。

下院と上院の最大の違いは、下院ではまず全米50州に1議席を割り当てたのち、残りは州単位で比例配分されるのに対し、上院は人口の多寡にかかわらず、各州2議席が与えられている点です(すなわち州が一つの巨大選挙区、原則として2年毎に1名ずつ選出されるものの、任期が6年なので、6年毎に1度、空白が生じます)。

そのためハワイやアラスカの様に、割り当てが上院2名、下院1名と言う州もあります。

更に見逃せないのが州知事選挙、こちらは中間選挙で36州が選挙の洗礼を受けますが、日本の都道府県知事と異なり権限が大きく、選挙に限っても、連邦下院議員の命運を左右する存在です。

(他にも各州上下両院選挙、市町村長及び同議会選挙がありますが、煩瑣を避けるため、今回は割愛します)

10年毎の全米国勢調査(次回は2020年)の結果に従い、各州に下院議員の議席数が割り振られますが、ここからが州知事の出番、選挙区の区割りは州知事の権限で、しかも米国では「ゲリマンダー」(区割り操作)が大手を振って罷り通っています。

「お祭り」は、2年毎に訪れる

すなわち、民主党の州知事であれば、可能な限り自党の下院議員を多く当選させるべく区割りを決めますから、州内の政党別下院議員獲得議席は、州知事の匙加減次第と申しても過言ではありません(共和党系州知事ならその逆)。

下院議員の側からすれば、州知事の座を敵陣営に明け渡す訳にはいかず、自身の選挙に負けず劣らず、全力投球が求められることになります。

従って、「大統領選挙を中心とするお祭り」と、「州知事を初めとするお祭り」が、2年毎に訪れると理解するのが正解です。

仮に日本の選挙制度が、2年に一度は必ず、衆参同日選挙と統一地方選挙が同時実施される規則になっているとすれば、選挙戦がどれだけ盛り上がり、そしてどれだけの選挙特需が発生するか、想像に難くありません。

しかも、いずれの選挙でも、候補を一本化するまでの過程で、予備選挙や党員大会が開催されますので、投票日の1年近く前から、党員や選挙民を巻き込んでの選挙運動が始まることになります。

余談ながら、米国の有権者はものぐさですので、候補者はバスを借り切って有権者を投票所まで運ぶのが一般的、そのため各候補がどれだけのバスを確保したかで、選挙の帰趨を占うことも可能です。

参考までに、2012年の大統領選挙で、オバマ民主党候補とロムニー共和党候補が投じた選挙資金総額は(表向きだけでも)10億ドル、これには上下両院及び州知事選挙の分は含まれていません。

これらを勘案したうえで、今年(2016年)の大統領選挙を予想します。

大統領就任までの大まかなスケジュール

大統領就任までの流れを概説しますと、

党内予備選・党員集会(2月~6月、「代議員」選出)

党全国大会(7月後半、大統領選挙候補選出)

大統領選挙(11月第一月曜日の翌日、今年は11月8日。「選挙人」選出)

大統領就任(翌年1月20日前後)

現段階が最初の「党内予備選並びに党員集会」であるのは御存知の通り、各候補が躍起になって獲得しようとしているのは、州毎に割り振られた党内「代議員(Delegate)」で、過半数は共和党が1,200名余り、民主党は2,400名超です。

大統領になるには、7月の全国大会で党の統一候補に選出される必要がありますが、では「理想の大統領候補」とはどの様な人物か、大統領選挙と同日に、多くの州で上下両院議員及び州知事選挙が実施される点を踏まえますと、「自分の選挙も強く、身内(他人)の選挙にも強い」候補です。

Next: ヒラリー・クリントンは「自分の選挙にも、身内の選挙にも弱い」

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