日本の実質賃金は2014年4月から5月にかけて大きく落ち込み、その後は横ばいの状況が続いています。日本国民は、野田政権期よりも6%弱、貧乏なのです。
記事提供:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2016年3月5日号より
※本記事のタイトル・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです
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NHK報道「1月の実質賃金 3か月ぶりに増加」の実態
さて、16年1月の実質賃金(速報値)が発表になりました。
ことし1月の給与総額は平均で26万9000円余りで、実質賃金でも前の年の同じ月を0.4%上回り、3か月ぶりに増加しました。
厚生労働省が全国のおよそ3万3000の事業所を対象に行った調査の速報値によりますと、基本給やボーナス、残業代などを合わせたことし1月の給与総額は、働く人1人当たりの平均で26万9725円でした。
これは名目賃金でも、物価の変動分を差し引いた実質賃金でも前の年の同じ月を0.4%上回っています。実質賃金が前の年を上回るのは3か月ぶりです。
厚生労働省は「賃上げが反映された一方、物価の上昇が抑えられているため実質賃金が増加したが、今後も安定的に上昇傾向が続くかどうか注視したい」としています。
というわけで、わたくしが「デフレ脱却」のために最も重要視している、「きまって支給する給与」はどうかといえば、対前年比0%でした。つまりは、上昇していません。
厚生労働省の説明はおかしい
厚生労働省の、「賃上げが反映された一方、物価の上昇が抑えられているため実質賃金が増加した」という説明は変です。
賃上げが反映されたならば、「きまって支給する給与」が増えていなければなりません。ちなみに、実質ではなく名目賃金でみても、「現金給与総額」が0.4%のプラス、「きまって支給する給与」は0%でした。
現金給与総額が増えたにも関わらず、きまって支給する給与が増えていないとは、単にボーナスが一年前より増えたに過ぎないという話です。「賃上げ」は関係ありません。
というわけで、例によりグラフ化してみたのですが、日本の実質賃金は2014年4月から5月にかけて大きく落ち込み、その後は横ばいの状況が続いています。日本国民は、野田政権期よりも6%弱、貧乏なのです。
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