米国連邦政府の最新財政状況予測(超重要)
2016年1月19日に、米国連邦政府の財政状況予測を議会予算管理局が発表しています。
大統領府発表の予算教書よりも少しは内容が信頼できるかもしれないと思われる方もいるでしょうか、このレポートの作成根拠となる各種データも結局は政府お手盛りの基礎データから積み上げたものですから、あまり信頼はできません。
そこで実際に、過去の将来予測(2010年発表)と、現在の将来予測(2016年発表)とを比較しましょう。その誤差が小さければ信頼できるでしょうし、誤差が大きければ信頼できないことになります。
(ア)2016年最新発表の将来予測のデータです。
(イ)過去の時点、2010年発表の将来予測のデータです。
歳入
最初は政府歳入です。青色枠の数字です。このデータを自作グラフ(ウ)で表していますので見てください。2010年時点の予測では、2015年度は3,625B$入ってくるだろうと予測していたのですが、実際に入ってきたのは3,249B$で、10%減ったのです。誤差はちょうど1割でした。
さて、現在の2016年度は約5年前では3,814B$だと予測していたのですが、3,376B$と11%減の予測に変化しています。
未来に行くほど悲観的で、2020年度は、5年前予測では4,563B$と予測されていましたが、今回の予測では3,917B$と14%減に変化しています。歳入が伸びないのです。支出はなかなか抑えられるものではありませんので、赤字は増える傾向となります
財政赤字
政府財政赤字を見ましょう。黒枠の数字です。グラフは(エ)を見て下さい。
2010年の時点で2015年度の赤字は480B$と予測していましたが、実際の赤字は439B$と少なくなっています。これは無償食料配給、防衛等の支出等の削減をしたからです。しかしその効果も2016年には消えるようです。
2016年度の赤字は、2010年当時の予測では521B$でしたが、今回の予測では、544B$と増えています。その後も、5年前の予測よりも現在の予測の方が赤字幅が大きくなっています。全体で大体7%の増加です
2020年度では赤字687B$が810B$に増えると見ています。この年度の予測は過去の予測の1.18倍です。
2015年度赤字実績が439B$だったのが、2026年には予測で1,366B$(1.36T$)と3倍以上に増えると見ています。これは単年度の赤字であって、累積赤字ではありません。
対外債務
次は対外的な米国の債務です。米国債を買った人々に対する債務です。赤枠の数字です。グラフは(オ)です。
2015年度を見ますと2010年時点の予測12,055B$、即ち12T$の9%増加の13,117B$、すなわち13.1T$です。2026年度予測は23,817B$、23.8T$ですから、2015年度実績の1.8倍です。改善する見込みは皆無であり、これが一般家庭の家計であれば、とっくに破産状態で遠くへ夜逃げしているところでしょう。