ちなみに、高鳥修一副大臣は、2011年5月11日のご自身のブログ「TPPについて(平成の売国) 」において、
私はTPPについて国家主権の放棄であり、平成の「開国」どころか平成の「売国」だと考えている。政治家の中にもいろんな考えや判断があるけれど、TPP問題は日本を守る断固とした決意のある「保守政治家」か否かのリトマス試験紙みたいなものだ。
と書いていらっしゃいます。リトマス試験紙は、高取議員を「日本を守る断固とした決意のある保守政治家」ではないと、判断したようですね。
日本やアメリカなど12か国が参加したTPP=環太平洋パートナーシップ協定の署名式がニュージーランドで行われました。各国は、早期発効に向けて議会の承認を求めるなど国内手続きを急ぐことにしています。
TPP=環太平洋パートナーシップ協定の署名式は、日本時間の4日朝、協定文書の取りまとめ役を務めたニュージーランドのオークランドで行われました。日本の高鳥内閣府副大臣をはじめ閣僚らは、ニュージーランドのキー首相の立ち会いのもと文書に署名し、12人全員の署名が終わると同席した交渉担当者らから拍手と歓声が上がりました。<後略>
TPPのここが「売国」(2)~TPPが発効したとしても、日本の対米輸出が短期で増えることはあり得ない
さて、TPPの関税問題(物品の市場アクセス)に対する他国の姿勢ですが、最も典型的な「工業製品」について書いておきます。
2015年10月20に内閣官房から公開された「TPP関税交渉の結果」によると、工業製品に関する各国の関税「即時」撤廃率は以下の通りとなっています。(単位は%)
日本 99.1
アメリカ 67.4
カナダ 68.4
ニュージーランド 98.0
オーストラリア 94.2
ブルネイ 96.4
チリ 98.9
マレーシア 77.3
メキシコ 94.6
ペルー 98.2
シンガポール 100
ベトナム 72.1
吃驚する方が多いでしょうが、実は工業製品の関税即時撤廃率が最も低いのが「アメリカ」なのです。逆に、日本の即時撤廃率はシンガポールに次いで高くなっていますが、我が国はそもそも工業製品についてほとんど関税をかけていません。即時撤廃率とはいっても、TPP発効後に日本が関税を改めて撤廃する分野は、工業用アルコールや繊維製品など、極一部に限られています。
また、同じく2015年10月に経済産業が公表した「TPP協定における工業製品関税(経済産業省関連分)に関する大筋合意結果」によると、アメリカは日本からの輸入が多い自動車分野において、乗用車(現行2.5%の関税率)は15年目に削減開始、25年目で撤廃。バス(同2%)は10年目に撤廃。トラック(同25%)は29年間、関税を維持した上で、30年目に撤廃。キャブシャシ(同4%)は15年目に削減開始、25年目に撤廃となっています。
アメリカが自国の自動車市場について、競合である日本製品から「保護する」姿勢を見せているのは明らかです。