「酒類と外食を除く飲食料品」でひとまず決着した軽減税率。テレビなどでは軽減税率のシミュレーションばかりをやっているが、来年2016年ダブル選挙の可能性は十分であり、安倍総理は最終的に消費増税を凍結するシナリオを選択する可能性がある。(『落合王子のマネーアカデミー』落合陽平)
軽減税率がことごとく「面倒くさい」のは安倍総理の深謀遠慮か?
衆参ダブル選挙は十分にあり得る
紆余曲折あった軽減税率は、結局「酒類と外食を除く飲食料品」でひとまず決着はついたようだ。
自民・公明両党が16日にまとめた平成28年度税制改正大綱には、消費税が10%に増税されるタイミングで軽減税率を導入、飲食料品のほかになぜか新聞が紛れ込んでいるが、わかりきったことなのでここはスルーしたい。
さて、最近のテレビ報道、新聞報道を見ていると、あることに気が付かないだろうか。
つまり、来年2016年ダブル選挙の可能性について一切の報道がないことである。これは非常に奇妙なことで、実は永田町においては、来年のダブル選挙の可能性を考えていない政治家は(おそらくほぼ)一人もいないということだ。
これだけ永田町で盛り上がっているにも関わらず、テレビやマスコミでは一切の報道がない。昼も夜も「軽減税率のシミュレーション」ばかりである。
はっきり言って、来年の衆参ダブル選挙は十分にあり得る。私ごときがそう思っているのだから、政治家当人はすでに織り込んでいるはずであり、実はこの「軽減税率」をめぐる議論も、その前哨戦とみるのが妥当ではないだろうか。
そもそも軽減税率導入の発端となったのは、消費増税による低所得者対策である。消費増税そのものは、所得が少なければ少なくなるほど、その負担は重くなる。
公明党は早くから軽減税率の導入について提言をしてきたが、自民党は当初は消極的だった。理由は簡単である。「面倒くさい」のだ。
しかしながら、自民党と公明党は今のところタッグを組んでいるわけで、それに応じないわけにもいかない。
重い腰を上げた自民党、いや財務省が最初に提案したのが「マイナンバーカードでキャッシュバック」という何ともお粗末なプランである。
以前のコラムで、私も「絶対に無理」と書いたが、その通りの結果になった。
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