最近、2018年10月~12月の四半期におけるGPIFの年金運用で過去最悪となる14兆円超えの損失を出したのでないかとの報道が出て、市場はざわついています。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2019年1月15日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
2018年10月~12月期の収益額は14兆円規模の損失となった模様
年金運用の失敗で14兆円超えの損失か?
最近、新聞赤旗が2018年10月~12月の四半期におけるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用が過去最悪となる「14兆円超えの損失」を出したのではないかという報道をしはじめ、市場はざわつきはじめています。
現段階では、あくまでこの赤旗独自の試算によるものですから、これが正確なのかどうかはわかりません。
国内の日経平均の下落買い支えにいいように使われたりしているGPIFの投資で、もう1つ決定的に気になるのが、海外の株式投資に絡む大失敗の様相です。
巨大ファンドは時価総額の大きい銘柄中心で運用
これはGPIFに限ったことではありませんが、図体のでかい年金運用などのファンドはその売買によって様々な影響を市場に与えることから、かなり時価総額の大きな株式銘柄に傾斜した投資を行う傾向があると言われています。
ここ10年あまり米国のヘッジファンドが猛烈にFAANGなどの特定銘柄に偏重投資を行うことで大きな利益をあげてきたことと、ある意味で同じような構造になっているわけです。
実はGPIFは、昨年に保有する株式・債券などの銘柄を公表しており、やはり外国株の保有リストにはアップルやアマゾンなどの巨大優良銘柄がずらりと並んでいる状況にあります。
しかしご存知のとおり、こうした銘柄は昨年10月から12月末までかなり大きく下落したことから、相当な含み損を抱えている可能性があることは赤旗でなくても判るところとなってきているのです。
安直な投資手法で年金が溶けている…
GPIFが保有する株の上位5社は、
- アップル
- マイクロソフト
- アマゾン
- フェイスブック
- JBモルガンチェース
といったところ。
実際の運用成績を見るまでもなく、10月からの四半期はかなり運用が落ち込んだことはほぼ間違いのない状況です。
最近アップルは、株価の急落でフェイスブック1社分の時価総額に相当する日本円で48兆円もの時価総額を消失しており、なにより自社株買いでもっとも損失を抱える企業となってしまいました。
巨大優良株だけ買っていればなんでも平均以上の利益が出る時代は完全に終了しており、GPIFのこうした安易な投資手法も少なからず見直しをはかるタイミングに直面していることが
わかります。
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