日本で公務員と言えば、安定した生活のイメージが強いですよね。でも海の向こうのニューヨークでは、物価高の影響により300人以上の「ホームレス公務員」がいるのだとか。メルマガ『いつも感謝している高年の独り言』が分かりやすく解説します。
ニューヨーク市に300人以上の「ホームレス公務員」物価高が直撃
給与が少なく、そのうえ物価高で、ホームレスになったニューヨーク市の公務員が多くいるとの報道がありましたので紹介しましょう。
報道のポイント
★ニューヨーク市清掃局の職員Angelo Torres氏は、毎週、休日以外の午前5時から、スタッテン島のミッドランドビーチで8時間ゴミの清掃に従事している。
★仕事は厳しいが、その間は悲しいホームレス生活から逃れることができる。このようなホームレス公務員がニューヨーク市に300人以上いるのだ。彼は現在45歳。「毎晩、こんなはずじゃなかったと考え込んでいます」と語った。
★彼は、この窮状を訴えるためにニューヨーク市長に嘆願書を出したそうだ。彼の年収は3万3662ドル。でも、この収入ではニューヨークの場合、家を借りることはできない。ニューヨークの家賃は高く、平均家賃は月2680ドルだからだ(家賃は年間3万2160ドルに相当し、家賃を引くと残り1502ドル=約18万円で1年間の食費、電気代等の生活費を賄わなければならない)。ということで彼は、路上に駐車した自動車の中で暮らしている。
★3年前のハリケーン襲来で、それまで住んでいたアパートが崩れたのが切っ掛けだったそうだ。共同で借家を借りるような親しい友人もいないのだ。ホームレス向けシェルターの暮らしも怖ろしいのだ。
★別の市職員、55歳のGeorgie Grierさんはトイレ清掃の公務員。年収は3万3600ドル。彼女もやはりホームレスとなり、犯罪多発地帯にある悪名高いアラディンホテル住まい。ホテルと言っても名前ばかり、市が借り上げたホームレス向けのシェルターです。彼女はこのシェルターでの生活を「麻薬常習者が多くて怖いので、痩せてしまった」と語った。
★ニューヨーク市が資金を出しているこのシェルターには多額の税金が使われており、ホームレスが独身者の場合は1人あたり平均78ドル強/日、すなわち年間2万9千ドル弱のコストが掛かっている。家族の場合は1家族当たり平均105ドル強/日、年間3万9千ドル弱のコストになっている。
★ニューヨーク市第37地区のローカル983(組合名)の約3千人のブルーカラー職員の組合委員長は「市役所の仕事をしていれば貧困にはならない、年金もあるし心配は何もない、とこれまで言われてきたが、現在はそうではないのだ」と語る。
第37地区の市役所職員は全部で12万1千人。その中には年収2万4千ドルしかない公務員も存在しているのだ。
ローカル1505の組合委員長によれば、1000人の公園清掃局の市職員のうち100人以上がシェルター暮らしで、少なくとも5人以上がスタッテン島やブロンクスの路上で生活しているそうだ。
ローカル1182の組合委員長は、ニューヨーク市長の無能ぶりを評して「我らが市長様は世界各国、全米の州で賃金の平等を説くが、ここでは何もしない。頼んでも市長は拒否するだけだ」と非難している。
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