IMFが2018年「世界経済見通し」の改訂版を発表。日本経済が最悪であることがわかりました。海外勢の(安全資産)日本円買いもアベノミクスも幻想だったのです。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2018年7月31日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
経済成長率は先進国中「最低」の1.0%へ。一方、楽観論も?
先進国全体で経済悪化?
IMF(国際通貨基金)による2018年「世界経済見通し」の改訂版が7月17日に発表されました。改定前のもの(全302頁)は4月に発表されています。
このIMF分析によると、トランプの「高率関税による国際貿易戦争」で、今後の見通しは先進国地域全体で悪化すると予測しています。
もっとも悪影響を受けるのは、米国・カナダではなく、ドイツ・フランス・イタリア・日本のようです。
中でも日本の経済成長率は、当初予想では先進国で最低の1.2%となっており、それが改定値ではさらに落ち込んで1.0%となっています。
幻想だった「日本の経済成長」
データをもとに、IMFによる日本への警告を見てみましょう。
<2018年4月発表のの当初見通し(ア)>
赤枠が2018年の経済成長率の予想値です。1.2%でした。
<2018年7月時点の見通し改定値(イ)>
同じく赤枠が2018年の経済成長率の改定された予想値です。1.0%に落ちています。アベノミクスは見事に雲散霧消です。
次の棒グラフ(ウ)は、(ア)および(イ)のデータをグラフ化したものです。紺色棒グラフは4月発表の当初予想値、青色棒グラフは7月発表の改訂予想値です。
左から、全世界合計成長率、次いで米国(2.9%)、カナダ(2.4%)となっています。ここまでは変化なしです。
そして、ユーロ圏全体(2.4%→2.2%)、ドイツ(2.5%→2.2%)、フランス(2.1%→1.8%)、イタリア(1.5%→1.2%)、英国(1.6%→1.4%)、日本(1.2%→1.0%)です。
先進国中で日本が最悪です。「安全資産である日本円買い」というメディアの文言も、アベノミクスも、幻想だったのです。
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