世界三大投資家のひとりとして、常にその発言が世界中の投資家の注目を集めるジム・ロジャーズ氏。そんなジム氏が、一連の人民元切り下げについて強気のコメントを出しました。もっとも、氏の視点は常に「超長期」ですし、自ら中国株を大量保有している点にはご留意を!
ジム・ロジャーズ氏「ブル相場が終わったと思わない」
中国本土A株を数回にわたり買い増し
ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並び世界3大投資家の1人とされるジム・ロジャーズ氏はこのほど、中国人民銀行(中央銀行)が発表した人民元の基準値算出変更について、中国本土A株の新たなブル(強気)相場につながるとの見方を示した。
香港メディアが13日伝えた。
中国人民銀行(中央銀行)は11日、人民元相場の基準値の算出方法を変更した上で、同日の基準値を前日から2%近く引き下げた。
基準値は11日以降、3日連続で引き下げられており、13日の基準値は1米ドル=6.4010元に確定。3日間の引き下げ幅は4.5%となった。
ロジャーズ氏は、人民元は切り下げすべきと指摘した上で「ブル相場が終わったと思わない。仮に終わったとしてもそれは一時的なもの」とコメント。A株の急落局面では保有株を売却せず、逆に数回にわたり買い増したことをあらためて明らかにした。
ロジャーズ氏は昨年5月の元安局面で行われたウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで、「向こう10年から20年の間に人民元の取引高は一段と増加し、正常な市場ではその過程で下落が起きる」と指摘。(人民元の下落が)自身の投資にはまったく影響しないとした上で、人民元相場の下落時には(同通貨を)買い増す方針を明らかにしていた。
香港大引け:4日ぶり反発、24000ポイントを回復
13日の香港株式市場でハンセン指数は4日ぶりに反発。終値は前日比0.43%高の24018.80ポイントだった。H株指数は0.35%高の11080.92ポイント。メインボードの売買代金は概算で868億700万HKドル。
ハンセン指数は小幅に反発してスタート。その後、一時マイナス圏に沈む場面も見られたが、総じてプラス圏で推移した。堅調な業績が好感されテンセント(00700)が上昇したほか、原油や銅、金などの商品相場の上昇を受け関連銘柄が買われた。連日の中国の人民元切り下げに伴う世界経済への影響が懸念される中、本土市場が下落したことが逆風となったものの、その後、本土市場が上昇したのにつられ買いが優勢となった。ただ、一段の好材料が不足する中で、売買代金は再び3日前の水準に落ち込んだ。
個別では、中間期の純利益が市場予想を上回ったことが好感され時価総額の大きいテンセントが買われ、1銘柄でハンセン指数を150ポイント以上押し上げた。本土系不動産の華潤置地(01109)や中国海外発展(00688)が堅調。石油株のペトロチャイナ(00857)やCNOOC(00883)、シノペック(00386)もそろって上昇した。中間決算が20%増益となったジョルダーノ(00709)は9%近い急騰。半面、寄り付き前に中間決算を発表したレノボグループ(00992)が大幅安。キャセイ・パシフィック(00293)やサンズ・チャイナ(01928)も売られた。そのほかでは、人民元の切り下げで米アップルの業績が悪化するとの観測から関連銘柄の瑞声科技(02018)や富智康集団(02038)が売られた。
H株では、産金銘柄の招金鉱業(01818)や石油関連のシノペック石油工程技術服務(01033)、山東墨龍石油機械(00568)が買われた。一方、聯華超市(00980)や彩虹集団電子(00438)が軟調だった。
本土大引け:反発、高値引けで節目の3900ポイントを回復
13日の中国本土株式市場で、上海総合指数は反発。終値は前日比1.76%高の3954.56ポイントだった。上海、深セン両市場の売買代金は概算で1兆764億800万元。
上海総合指数は、序盤から中盤にかけて前日終値を挟んでもみ合った。終盤に上げ足を速めると高値引けで終え、前日割り込んだ節目の3900ポイントを回復した。13日の人民元相場が3日連続の大幅切り下げとなったものの下げ幅は縮小したことに加え、中国人民銀行(中央銀行)の幹部が「当局は輸出促進に向け10%切り下げる」との観測を否定し、人民元レートの上昇基調への回帰に自信を示したことが好感された。
A株市場ではほぼ全面高の展開。中国人寿保険(601628)や中国平安保険(601318)など保険株が買い戻され相場の上昇を主導。前日に原油先物価格の下落を嫌気して売られたペトロチャイナ(601857)やシノペック(600028)も反発。このほか、人民元切り下げ幅の縮小を受け、元安が燃料コスト上昇につながるとの懸念から売られていた中国国際航空(601111)、中国東方航空(600115)など航空株に買い戻しが入った。
上海B株指数は1.78%高の370.08ポイント、深センB株指数は0.68%高の1239.00ポイントとそろって3日ぶりに反発した。港湾クレーン世界大手の上海振華重工(900947)や、山東航空(200152)などが買われ、指数を押し上げた。
『【DZH】中国株マーケット&ニュース』(2015年8月13日号)より一部抜粋
※チャートと太字はMONEY VOICE編集部による
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