ここへきて欧米のファンド勢の安倍政権に対する見方がかなり厳しくなってきています。安倍首相の存在そのものが、日本株投資への障壁になりつつあるようです。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2018年5月28日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
「海外ファンド勢から、安倍政権について聞かれることが増えた」
「安倍首相」が日本市場の障壁に
日本の株価がすんなり上昇しない理由には、かなり複合的なものが考えられます。
もちろん米国の株式市場の影響を大きく受けていることも事実です。しかし、ここへきて欧米のファンド勢の安倍政権に対する見方が、かなり厳しくなってきています。つまり、安倍首相の存在そのものが、日本株投資への障壁になりつつあるようです。
世界が呆れる「モリカケ問題」
私はビジネス上、M&Aなどに絡む海外のファンドと話をする機会があります。
海外のファンド勢は、とにかく安定した政権を望んでいます。彼らは、アベノミクスの実行で株価が大きく跳ね上がったということで、安倍首相以外に選択肢はなく、政権続投が安心して日本に投資できる前提条件と考えてきたことは紛れもない事実です。
実は国内の金融市場関係者も同様で、QUICKによる調査では市場関係者の7割が安倍政権を支持しているという結果も開示されています。
たしかにアベノミクススタートで日経平均がざっと4倍以上になったわけですから、とくに株式市場関係者にとっては、いわば神様のような存在なのでしょう。
日本の政治についての詳細を理解していない海外のファンド勢も、ほぼこうした状況をトレースするような考え方を持っていたことは間違いないようです。
しかし、ここ1年以上も続くモリカケ問題は、日本という国をまったく知らない人間でさえ、事件のあらましを眺めるだけで呆れかえる内容です。
主要な役所に務める上級公務員のさらにトップクラスを巻き込み、しかも経緯を箇条書きで書いても、「忖度」というカタチの無い内容からはじまって、実際に公的文書の改竄や廃棄、そして実は保管していたことが発覚するなど、驚きの展開が延々と続いているのが現状です。
海外ファンド勢から「安倍政権」について聞かれること多数
またよくないのが、誰も刑事処罰の対象にならないこと。米国ではありえないお粗末な事態が続いていることで、とうとう米系の投資家筋にも伝わるようになってきていることがわかります。
実はここへきて、海外のファンドの人間から安倍政権のことについて尋ねられることが非常に増えており、返答に困る場面が多発し始めています。
彼らに言わせると、出てくる内容はほとんど1960年代あたりの発展途上国の独裁的為政者がいた頃の話に極めて酷似しているとのこと。
表向きは不法行為とは認定されないものの、透明性が低く、しかも首相の夫人が介在した案件が登場し、それに役人が総出で状況をねつ造しているという話が痛く気になるようです。
海外の投資家が見る安倍政権の現状というのは、もしかすると国内の人間が感じているよりも、かなり厳しいものになりつつあることを改めて感じさせられる次第です。