貯金だけでは資産価値が目減りしかねない昨今、自分自身で「お金を守る」必要があります。では、どう守るのか? 才能が要らない資産運用の基本を解説します。(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編)
プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネープランの実現にコミットしたマネースクールを共催。自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。
※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2018年4月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
投資に才能は不要。連戦連敗だった私が勝てるようになったワケ
「一発逆転」を狙うと事態はさらに悪化する
行動経済学の創始者と言われるダニエル・カーネマン博士は、人間のリスク下における意思決定についての研究を行ったことで有名です。博士は、ギャンブルに臨む際の人々の深層心理を実験によって確かめ、後にはノーベル経済学賞を受賞しています。
博士の研究によれば、
- 人は富が増えるかどうかよりも、得か損かに注意を向けている
- 人が下す決定の多くは感覚に頼っており、確率に基づいているわけではない
…のだと言います。
博士は、「利得/損失」「高い確率/低い確率」の2軸をもとにマトリクスを作成しました。それが以下の4つです。
- 人は高い確率で確実に利得を手にできる場合、リスクを冒したほうがより大きな利得を得られたとしても、確実なほうを選ぼうとする
- 人は当たった時の利得が著しく大きい場合、たとえ当たる確率が限りなく低くても、そのことには目を向けない。宝くじなどがよい例
- 巨額の損失の可能性がわずかでもある場合、人は不釣り合いに大きい金額を出してでも、その不安を取り除こうとする。保険加入などがよい例
- 人は損失しか見込めない場面に遭遇すると、何とかしてその損失から逃れようとして、高い確率で一か八かの賭けに出る。その結果、事態を一層悪化させる
(1)と(3)は損失を回避しようとする行為ですが、(2)と(4)は逆に損失が増える可能性のほうが高い行動を採っていることになります。
ここからわかることは、「人は損することを避けようとする習性がある」ということです。
カーネマン博士の著書『ファスト&スロー』によると、「人間も含めてあらゆる動物は、得をするより損を防ぐことに熱心である」と言っています。
冒頭の話に戻りますと、多くの人が無茶を承知で日銀の政策に期待を寄せたのも、(4)の習性が働いた結果なのではないでしょうか。おそらく日銀の政策が、日本を救う起死回生策に見えたのかもしれません。