安倍内閣は日本会議内閣?閣僚の8割が所属、6名が要職
第3次安倍内閣と神道政治連盟・日本会議の蜜月
前述の両組織と安倍内閣の閣僚、官邸の政治家スタッフ、副大臣との関係を調べると、これはなかなかビックリする。
閣僚20人のうち公明党の太田国交相を除く19人の全員が神道政治連盟議懇の会員で、15人=約8割が日本会議議懇の会員であるだけでなく、副会長(安倍)、特別顧問・前会長(麻生)、幹事長(下村)、副会長3人(中谷、菅、石破)の6人が要職にある。
官邸を取り仕切る政治家出身の副長官と補佐官の5人は、100%が神道政治連盟、2人が日本会議である(但し、日本会議議懇の完全な名簿が入手できなかったので、確認されうる限り)。
副大臣では、公明党を除いた6割が神道政治連盟、45%が日本会議である(同上)。日本会議広島のWebサイトが「安倍内閣は『日本会議内閣』といっても過言ではない」と自慢しているのは本当である。
第3次安倍内閣と神道政治連盟・日本会議の関係
主な役職など | 神道 | 日本会議 | |
---|---|---|---|
《大臣》 | |||
安倍晋三 | 総理 | ○会長 | ○副会長 |
麻生太郎 | 副総理・財務 | ○ | ○特別顧問、前会長 |
高市早苗 | 総務 | ○ | ○ |
上川陽子 | 法務 | ○ | × |
岸田文雄 | 外務 | ○ | ○ |
下村博文 | 文科 | ○ | ○幹事長 |
塩崎恭久 | 厚労 | ○ | ○ |
林芳正 | 農水 | ○ | × |
宮沢洋一 | 経産 | ○ | × |
太田昭宏 | 国交(公) | - | - |
望月義夫 | 環境 | ○ | ○ |
中谷元 | 防衛 | ○ | ○副会長 |
菅義偉 | 官房長官 | ○ | ○副会長 |
竹下亘 | 復興 | ○ | ○ |
山谷えり子 | 拉致 | ○ | ○ |
山口俊一 | 沖縄北方 | ○ | ○ |
甘利明 | 経済再生 | ○ | ○ |
有村治子 | 少子化 | ○ | ○ |
石破茂 | 地方創生 | ○ | ○副会長 |
遠藤利明 | 五輪 | ○ | × |
《官邸》 | |||
加藤勝信 | 官房副長官 | ○ | ○ |
世耕弘成 | 〃 | ○ | × |
木村太郎 | 総理補佐官 | ○ | ○ |
礒崎陽輔 | 〃 | ○ | × |
衛藤晟一 | 〃 | ○ | × |
《副大臣》 | |||
長島忠美 | 復興 | ○ | ○ |
浜田昌良 | 〃(公) | - | - |
赤沢亮正 | 内閣府 | × | × |
平将明 | 〃 | × | × |
西村康稔 | 〃 | ○ | ○ |
西銘恒三郎 | 総務 | × | × |
二之湯智 | 〃 | ○ | ○ |
葉梨康弘 | 法務 | ○ | ○ |
城内実 | 外務 | ○ | × |
中山泰秀 | 〃 | ○ | ○ |
菅原一秀 | 財務 | × | ○ |
宮下一郎 | 〃 | ○ | × |
丹羽秀樹 | 文科 | × | × |
藤井基之 | 〃 | × | × |
永岡桂子 | 厚生 | ○ | × |
山本香苗 | 〃(公) | - | - |
あべ俊子 | 農水 | × | × |
小泉昭男 | 〃 | ○ | × |
山際大志郎 | 経産 | ○ | ○ |
高木陽介 | 〃(公) | - | - |
北川イッセイ | 国交 | × | × |
西村明宏 | 〃 | ○ | ○ |
北村茂男 | 環境 | ○ | ○ |
小里泰弘 | 〃 | ○ | × |
左藤章 | 防衛 | ○ | ○ |
菅官房長官“お抱え”憲法学者はフロント団体メンバー
日本会議はいくつものフロント団体を組織して各分野の運動を繰り広げていて、その1つが「美しい日本の憲法をつくる国民の会/憲法改正を実現する1000万人ネットワーク」である。
共同代表は、桜井よし子と、日本会議の中心幹部である三好達と田久保忠衛の3人。
代表発起人は39人で、青山繁晴、呉善花、葛西敬之、長谷川三千子、百田尚樹、舞の海など多彩で、その中には長尾一紘=中央大学名誉教授と西修=駒沢大学名誉教授も入っている。幹事長は百地章=日本大学教授、事務総長は打田文博=神道政治連盟幹事長、事務局長は椛島有三=日本会議事務総長である。
日本会議、神道政治連盟、美しい憲法の会がボテボテに重なり合っていることが分かる。
で、面白いことに、6月10日の衆院特別委員会で民主党の辻元清美が菅官房長官に「まったく『違憲じゃない』という著名な憲法学者もいっぱいいる」と言ったが具体的に『いっぱい』名前をあげてください」と攻めて、菅が何とか名前を挙げることが出来たのが、この美しい憲法の会の代表発起人の長尾と西、それに幹事長の百地だった。
文化芸術懇話会が講師に呼んだ百田も「美しい憲法の会」の代表発起人である。お粗末としか言いようがない人材の枯渇で、この政権が余りに狭小なお仲間内で切り盛りされていることが改めて浮き彫りになった。
安倍や菅は、このような右翼偏向も著しい組織や人脈の、一見すると重層的ではあるけれども、実はごく少数の同じような人たちがあちこちで立ち回っているだけの卑小なサークルに取り囲まれていて、そのすぐ向こうに大きく広がる国民世論の動きが見えずに“裸の王様”状態に陥りつつある。安倍の右翼人脈が自家中毒を起こしている。
『高野孟のTHE JOURNAL』(2015年7月13日号)より一部抜粋
※原文を尊重し文中敬称略、太字はMONEY VOICE編集部による
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