虚構の中で「美しく」衰退していく日本
したがってこの先は確実に「没落国家日本」となっていくのですが、グッドニュースとしては、日本は「美しく」衰退するということが挙げられるでしょう。
先行きは間違いなく衰退していくという状況にあっても、みな今は景気がよいと思っています。政府がいざなぎ超えの好景気だと言い、雑誌などのメディアも、そこに登場する経営者なども、口を揃えて今の日本は景気がよいと言っています。
貧困問題が取り沙汰されることがありますが、職のない人が街にあふれ路頭に迷っているような人が増えているわけではありません。これはデフレのおかげなのですが、ともあれ本来ならばこのような状況にあれば世の中はもっと騒然としているはずなのに、整然と、ハードランディングせずに、緩やかに没落国家への道を歩み始めているというあたりが「美しい国、日本」です。
自分を21世紀型につくり変える必要がある
この緩やかな衰退の中で、少し時間をかけて、ご自分の会社やプライベートにおいて抜本的な改革を行って、21世紀型のものに変えていく取り組みをされていくとよいのではないでしょうか。焦って何かやる必要はなく、十分時間があるのです。
政治家や役人の状況を見ると、日本の病が治るというのは、先にも述べたように全くあり得ないと思います。今の日本は「家業が政治家」というような、経済や経営についてほとんど全く分からない人が総理と副総理をやっています。
それが一強だと言われているくらいですから、これはまず治せません。こういう状況だからこそ皆さんは、ご自分のことやご自分の会社のことをリシェイプするプロセスに集中していただければと思います。(次回に続く)

『大前研一 2018年の世界~2時間でつかむ経済・政治・ビジネス、今年の論点~』
著:大前研一/刊:good.book ¥900
2017~2018年の世界・日本の動きを俯瞰し、国と企業の問題・トレンドを大前研一が解説。
トランプ政権はどうなった? BREXITの行く末は? 中国の存在感はこれからどうなる?
これらの世界の動きに対して日本はどうするべきなのか。
2時間の講義で、2018年のビジネスのためのしっかりした知識を身につけることができます。
記事提供:biblion
無料メルマガ好評配信中
大前研一 ニュースの視点
[毎週金曜日+お知らせ号]
最新情報は簡単に手に入る世の中になりましたが、ニュースを正しく読む、正しく解釈するのはまだまだやっぱり難しい…。大前研一の緻密な分析とグローバルな洞察によって読み解くニュースマガジン「大前研一《ニュースの視点》」です。