米国の次は「中国」
ですから、2017年を振り返ると、これまでに比べて中国と日本の格差が非常に明確に現れたと言えます。
特許の出願数も発表される論文数も中国のほうが上です。未上場で想定時価総額が10億ドル以上の企業をユニコーン企業と呼びますが、米国には108社あり、中国にはなんと58社もあります。
それに続くのは英国やドイツで10社程度ですが、日本には数社(メルカリ、DMM.com、プリファード・ネットワークス)しかありません。世界10大ユニコーン企業を見ても中国企業は4社もランクインしていますが、日本の中でこれから世界へ躍り出るような期待値の持てる会社がほとんど見つからないのです。
2017年は米国の次は中国だということが明らかになった年でした。
GDPの面ではそうだと分かっていたことですが、個々の企業を見てもまだまだ日本のほうが上だと思っていたところが、中国企業の勢力が堂々と米国に次ぐものになり、日本との差は開く一方だということが明確になった点で“画期的”な年でした。
私は以前から「このまま行けば日本は、ポルトガルやスペインのように400年衰退する、そういう長期没落が続く国になるぞ」と言ってきましたが、2017年はそのことが明確に決定づけられた年だったと言えるでしょう。
尖った人材が育たない日本
このような時に政治家は、「これじゃいけない」と衰退を食い止めるための政策を打ち出さなければならないはずですが、待機児童をなくそうだとか教育の無償化だとかを声高に言っています。
また、今の日本の教育制度は20世紀の大量生産・大量消費時代における中の上くらいの人材を大量につくるものでしかありません。
エッジの効いた変わった人材、尖った人材をつくり育て21世紀の経済をシェイプしていくような仕掛けが全くないのです。そのことに気づいてからそういったシステムづくりに着手しても、効果が見えるまでには20年かかります。日本の今の病だと言えますが、これは治らないと私は思います。
自力で治せないのであれば、世界中から変わった人材を呼び込んで何かやらなければならないのですが、日本の場合、これもまた打つ手が不足しています。
ドバイ、アブダビ、シンガポールなど、世界各国が競ってものすごいお金をかけて起業家を自国に招くような施策を行っていますが、日本がやっているのは「起業するなら半年在留資格をあげましょう」「いやそれでは足りないから1年にしよう」といったレベルの論議です。
世界の優秀な人材はみな日本に来たがっているのだと、まだうぬぼれているのです。今の日本には何が足りないのかということについて、全く自己分析ができていないと思います。
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