7月5日のギリシャ国民投票を前に、マスコミ報道では「ギリシャのEUやユーロ離脱はなさそうだ」との楽観的な見方が広がっています。仮にギリシャを無事通過したとして、他に懸念材料はないのでしょうか?
メルマガ『いつも感謝している高年の独り言』では、フランス次期大統領選有力候補のマリーヌ・ル・ペン極右国民戦線党首の台頭が、今後のEUやユーロを揺さぶる新たな火種となる可能性を指摘しています。
「EU統一通貨は完璧な大失敗」マリーヌ・ル・ペンが台頭するフランス
ギリシャの次は南欧諸国に飛び火すると言われています。
貸し手側のトロイカですが、TVメディアの舞台にその代表として登場するのはドイツ、そしてフランスの政治家です。
フランスの現職の大統領も頻繁に登場し、「ギリシャは緊縮財政、年金削減を実施し、公的債務を返済し、EUに留まるべきだ」と首尾一貫して発言しています。
今回は、そのフランスからの報道です。
Marine Le Pen: Just Call Me Madame Frexit
2012年のフランス大統領選挙で3位となり、現在、若年層でトップの支持率を得ている国民戦線党首マリーヌ・ル・ペンのフランスEU離脱に関する報道です。
報道のポイント:
フランスの大統領選挙で現在人気第1位のマリーヌ・ル・ペン党首がインタビューで「EU統一通貨は完璧な大失敗であり、フランスのユーロ離脱となるであろう」と語った。
来る2017年の大統領選挙の人気No.1の同女史は、今回のギリシャのユーロ離脱は避けられないと語った。その上で、フランスの離脱も近い将来に起きると見ており、「ギリシャの離脱は、数ヶ月の時間稼ぎにはなったが、問題解決はあり得ず、それは必ず戻ってくる。現在、世間はギリシャ離脱の話をしているが、明日は英国の離脱、そして、その次の日にはフランス離脱の話題へと変わっていくだろう」と語ったのだ。
同女史は現在46歳で、現在人気投票第1位で、現職のオランド大統領、前のサルコジ大統領などよりも高い支持率である。
「もしEUが、フランスの金融、立法、領土、予算等の国家主権をフランスに戻さないと言うのであれば、フランスのユーロ離脱を主張する」と語った。
彼女の離脱プランは、ドイツとフランスの協議の元で、秩序ある統一通貨ユーロの解体を進めるというものだ。
フランスの高い失業率問題、アフリカ系・中東系の移民の増加が、国民戦線の支持を増やしているのだ。
この勢いに対して、メルケル首相も懸念を示しており、2017年大統領選挙でル・ペン女史が選出され、フランスの経済政策がどのようになるのかを注目している。
報道の紹介はここまで。
つまり経済的統一は認めたとしても、政治的な支配、特にドイツからの内政干渉は受けたくない。フランスの政治的独立を失うのであれば、迷わずEU離脱をするとの姿勢でしょう。
大統領に選出されれば、当然フランス離脱がテーマになるはずです。もし選出されなくても、国民戦線を支持する若年層の声を無視することは出来ないでしょう。英国と同様にフランスも火種を抱え、EUの求心力は減り危険な時代は続くはず。
さて、フランスの人気投票最新データ(2015年5月時点)と、債務危機の可能性に関するデータを紹介します。以下のデータを見て下さい。
(ア)この調査ではル・ペン女史はトップです。
(イ)ル・ペン党首率いる国民戦線の支持率変動グラフの一例です。これはフランス北部地域の支持率とのことです。
(ウ)フランスの政府支出/GDP比率です。
(エ)フランスの政府負債/GDP比率です。
『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』(2015年7月3日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による