日経新聞は、これまで仮想通貨を扱う事業者を「取引所」と呼んできたが、今後は実態や法律上の法律上の位置付けを考慮して「交換会社」と表記するという。(『元証券マンが「あれっ」と思ったこと』)
「取引所」とは決して呼べない業務実態。明確にどこが違うのか?
日経新聞が表記を変更
日経電子版(2018年2月5日付け)に『仮想通貨「取引所」、実は投資家』とする記事が掲載されていた。
日経では、仮想通貨を扱う事業者はこれまで「取引所」と呼んできたが、事業の実態や法律上の位置付けを考慮し、今後は「交換会社」などと表記することにしたという。
<1. 取引所における売買形態>
(1)オークション方式
東京証券取引所など、多くの取引所で採用されている仕組み。一般的には、市場参加者がそれぞれの売買注文を持ち寄り、「価格優先」と「時間優先」という2つの原則に基づいてマッチングを行う仕組みである。
具体例を挙げると、東京証券取引所におけるザラ場方式では、指値注文(価格と数量と売買の別を指定して注文すること)のリスト(これを板=ブックという)を公開し、成り行き注文に最も条件のよい指値注文をマッチングさせるやり方を採っている。
このように、指値注文が市場価格と売買成約に決定的な役割を果たすことから、オークション市場は「注文駆動型(order driven)」の取引システムであると言われる。
(2)マーケットメーク方式
マーケット・メーカーと呼ばれる値付け業者が各銘柄に対して売り(アスク)と買い(ビッド)の値段(気配値)を提示し、その他の市場参加者の売買注文に応じて自己勘定で反対売買を行う仕組みである。各銘柄についてマーケット・メーカーは1人の場合もあれば、複数人いる場合もある。
マーケット・メーカーは常にアスクとビッドの価格を提示して、市場参加者の売買注文には必ず応じなければならないので、取引の即時性は保証される。
マーケット・メーク方式では、マーケット・メーカーの提示する気配値が市場価格と売買成約に決定的な役割を果たすことから、「気配駆動型(quote drive)」の取引システムと言われる。
<2. 法律上の立場の違い>
東証は金融商品取引法上の取引所免許を持つ。仮想通貨交換会社はそういった免許は持たず、資金決済法で「交換業者」として登録すれば国内で事業ができる。コインチェック(東京・渋谷)など一部は登録さえしていない「みなし業者」だ。
日経の言うように、仮想通貨を扱う事業者を「取引所」ではなく、「交換会社」と呼ぶ方がわかりやすいように思われる。
また、仮想通貨取引で得た利益は原則「雑所得」の総合課税となり、損失は雑所得以外の他の所得とは通算できないことにも注意が必要だ。
『元証券マンが「あれっ」と思ったこと』(2018年2月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による