最近気になるのは、目立たない中小型の割安銘柄にも資金が流れており、思わぬ上げ方をすることです。これはAI投資の増加が影響しているのかも?と考えています。(『億の近道』街のコンサルタント)
20数年間を金融(主に証券)会社で過ごし、投資銀行業務や事業育成の業務を担当。「金融機関に籍を置く(安全な)立場で客観的なことを言うより、いっそのこと経営者と同じ立場で事業拡大のお手伝いを出来ないものか」と思い立ち、2005年春に証券会社をリタイアしてコンサルティング会社を設立。
無視されて終わる優良銘柄はもうない? AIを逆手にとった投資術
荒っぽい株式市場
昨年10月中旬からの約3ヵ月間の値上がり分(約3,000円)が1月24日からのわずか10営業日で消えました。崩れるときは早いです。
やはり、このような時には小型株の下落幅が大きくなるようですが、指数面を見ると、TOPIXより日経平均の方に指数ベースの取引をする短期投資家(ファンドなど)が集中するため値動きが荒くなります。
1月下旬以降、下げ始める中で短期の空売りも増えていましたし、プットの取引残も増えていましたので、短期投資家が日米の市場で指数を押し下げて儲けるタイミングを計っていたのでしょう。ここ数年は投機資金が巨額となっているため、流動性の高い株式市場の指数は彼らの格好の投資対象となっています。
目立つ「HFT(高速取引)」の弊害
先週月曜日からの大きな乱高下は先物主導の下げとなっており、海外市場でも国内市場でもHFT(高速取引)の弊害が目立ちました。火曜日には先物主導の売りに触発された短期資金も追随して個別株への空売りを増加させ、一転して水曜日の寄付きには一斉に買い戻しが入りましたが、その後に改めて先物で売り崩される動きが出てくると上値が重くなりました。木曜日の午前10時頃からは指数寄与度の高い値嵩株を売るプログラム売買が目立っていました(編注:原稿執筆時点2018年2月8日)。
値動きが荒くなるほどに取引全体の7~8割がファンドなどの短期資金による指数売買に偏りますので、真面な中長期投資家は様子見となり指数だけが乱高下します。
こうなると単なる博打場ですので、落ち着くまで、またはいい加減安くなったと判断できるまでは、下手に参加しないよう注意せねばなりません。会社業績や価格・投資理論などは無視で、テクニカル売買による攻防だけになりますから。
恐らくは主要国の低金利政策が続く限り、これからも株式市場は何かきっかけを探しては大きく動くという場面が増えることと思います。
もっとも、リーマン・ショック後の2009年頃からアベノミクス相場がスタートするまでの4年間は1万円前後を行ったり来たりの、値幅も小さい、つまらない市場でしたね。
その頃に「安過ぎるなぁ~」と感じて買っておいた高配当銘柄や優待銘柄がこの5年間で大きく値上がりして良かった、という嬉しい本音もありますが。
AIが日の当たらない優良銘柄を発掘している?
昨年辺りから気になっているのが、目立たなかった中小型の割安銘柄や成長期待銘柄にも資金が流れ込んでおり、諦めていたような銘柄が思わぬ上げ方をすることです。
これはAI投資の増加が影響しているのかも?と考えています。過去には証券会社のアナリストが取り上げない小型株などは注目されず放置されていたわけですが、AIが全上場銘柄を分析して銘柄を発掘してくれるために、割安なまま放置される銘柄が減っている理由ではないか?というわけです。
もしそうなら、ちゃんと研究して「将来性がある」または「割安である」という銘柄を買っておけば、そのうちAIが見つけ出して買ってくれるということではないかな?と期待してしまうわけです。
Next: AIが見つけてくれるなら、安心して「買っておく」ことができる