着るだけで体のサイズを測れる「ZOZOSUITS」が話題ですが、この技術提供社とZOZOTOWN運営社との関係は、買収ではなくコールオプションです。なぜでしょうか。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2017年12月14日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
巨大ECサイトと技術を広めたいスタートアップ、その関係性は?
「サイズ違い問題」を根本から解決する
ZOZOTOWNを提供するスタートトゥデイ社が非常に興味深いサービスを開始しました。その名も「ZOZOSUIT」です。
ZOZOSUITとは、多くのセンサーを内蔵したボディスーツのようなものをユーザーが着用して、自分の体のサイズを正確に測定することができるというものです。
まだビデオをご覧になっていない方は、以下の動画をご覧ください。
そして、なんとこのZOZOSUITをユーザーに無料で配布するという発表がなされました。
すでに発表されているプライベートブランドの衣類を販売する際にこれらのデータを用いて、よりユーザーの体にフィットする服を届けることができるようになるだけではなく、既存のZOZOTOWNに出店しているファッションブランドの服も、ZOZOSUIT経由で取得したデータを利用することで、よりサイズ違いが起こりにくくなるという内容です。
ひと言で言ってしまえば、ファッション業界で誰もが欲しかった「ユーザーの正確な体のサイズ」というビッグデータを収集するための装置がZOZOSUITになります。
ファッションをオンラインで販売する際に最もネックになるのが「サイズ違い問題」だと言われており、この問題を根本から解決するために誕生したのがZOZOSUITです。
ZOZOSUITの技術提供元「StretchSense社」とは
StretchSense社というのは、2012年に設立されたニュージーランドにある企業です。
ウェブサイトを見る限り、主にウェアラブルデバイス向けのセンサー技術を提供している会社に見えます。そういった意味では、今回のZOZOSUITにはぴったりな技術を有している会社と言えるでしょう。
一方でこういった新しいデバイスというものは普及させるのが非常に大変で、特にスタートアップが自ら新しいデバイスを普及させるというのは簡単なことではありません。
今回のようにスタートトゥデイのような既に巨大なユーザーベースを有している企業とパートナーシップを組み、彼らに技術を提供する形をとることで自社の技術を一気に拡大するというのは、新しいデバイスを普及させるための典型的なパターンだと言えるでしょう。
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