「命取り」になりかねない麻生副総理の国会答弁
麻生副総理は国会で「この土地は地下埋設物を考慮して評価され、すでに売却済みであり、実際に撤去されたかどうか契約上も確認を行う必要はないと考えている」と答弁している。
この答弁を額面通りに受け取ると、国は豊中市がヒ素や鉛という有害物質が含まれているとして「要措置区域」に指定されている土地に建設されている学校で、きちんと有害物質が除去されているかを確認するつもりもないということになる。
同時にこの答弁は、国にとって、国有地の売却価格が適正であったか否かよりも、掘り返して欲しくない事情があることを感じさせるものだったともいえる。
ヒ素と鉛で汚染された土地の上に小学校が建設され、その隣地には公園が整備されている。
ゴミの山の上に建てられる「瑞穂の國記念小學院」でどのような教育がなされるかが大きな話題になっているが、ヒ素と鉛がきちんと除去されているか確認されていない土地の上に小学校が建設されていることに対して、ほとんど批判が出てきていないということこそが、今回の問題の最も異常な部分だといえる。
「健全な魂は健全な肉体に宿る」というが、どんなに立派な教育をしたところで、健康に害を及ぼすとされるヒ素や鉛で汚染されている可能性のある土地に建つ小学校で学ぶ子どもたちに、健全な魂が宿るのだろうか。
土地の評価額が適正なものかは別にしても、有害物質がきちんと除去されているかを確認するのは行政の責任であるはずだ。こうした当然の問題がほとんど取り上げられない国会論戦を見ていると、与野党ともにこの問題には触れたくないのではないかと勘ぐってしまう。
「瑞穂の國記念小學院」の地下には、掘り起こしてはならない不都合な真実が埋められているのかもしれない。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年2月26日)
※太字はMONEY VOICE編集部による
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