元ゼネコン土木技術者として、森友学園側の証言を信じられない理由
杭打ち工事中、地下9.9m付近まで掘った時点で新たな地中埋設物が見つかったことがこの問題の発端だといわれているが、地中埋設物として具体的に挙げられているのは木端や長靴、靴下、自転車のタイヤチューブなどの生活ごみである。
筆者の土木技術者としての経験からすると、木端や生活ごみの影響で杭打ち機が真っすぐに入らないということや、ゴミがあるから杭がずれるということは考え難い。
そもそも土中に木端やゴミ程度の障害物が出てくることはよくあることで、その程度の障害物で真っすぐ杭を打ち込めないような軟な杭打ち機では現場ではとても使い物にならないし、ゴミのせいで杭がずれるようでは杭打ち工事などできないからだ。
9.9mまで杭打ち工事を行った際に新たな木端や生活ごみが見つかったという証言自体も違和感を覚えるもの。杭を打つ場所は9.9mの深さまで土砂を取り除き新たな土砂を埋めた、という報道から推察するに、支持層は地下9.9mの付近にあるということ。
深さ9.9mから木端や生活ごみが出てきたとすると、この国有地は支持層から上はごみの山、言い換えればゴミによって埋め立てられた土地だったということになる。山の手に位置する豊中市でこうした埋め立て地があったというのもにわかには信じ難い。
そもそも国や市はこの土地がどのように利用され、どのような経緯を経て国有地になったのか把握していたはずである。
ゴミの埋め立て地として利用されていたのでなければ、地下9.9mにある支持層近辺から生活ゴミが出てくるというのはまずあり得ない話。
このような初歩的なことを国交省などが気付かずに見落とすことは考え難い。そうした中で気になることは、この国有地は和歌山毒物カレー事件で使われたことでも有名な有害物質ヒ素に加え鉛も検出されており、豊中市によって土壌汚染対策法に基づく要措置区域に指定されていたこと(2015年10月解除)。
この国有地は豊洲市場のように、もともと化学工場だった場所ではなく住宅地であり、阪神大震災の際には仮設住宅が建設されていた場所でもある。その国有地に、何時、どのようにしてヒ素や鉛が含まれるようになったのかも興味深いところだ。