いきなり全資金投入はアリ? 結局どういう買い方が良いのか
シーゲル博士の研究結果を元に考えると、S&P500を長期で保有すれば、損はせずに利益になることわかった!
そして、ウォーレン・バフェットが一般の人向けに「資産の90%をS&P500に、残りの10%を債券に投資せよ」と言っている真意もよくわかった!
それでは、いきなり全資産の90%をS&P500に投入するのが正しい方法なのでしょうか。
シーゲル博士は「配当をひたすら再投資する」という手法を勧めています。しかしながら、具体的にS&P500の購入手法についてまでは踏み込んでいません。
ヒントになるのが、シーゲル博士の著書『株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド』で語られている「移動平均戦略」です。シーゲル博士は、移動平均戦略の有効性に一定の評価を下しています。
株価が移動平均線に近づいた時(または移動平均線よりも下回った時)が買い時だということは特に目新しい話ではありません(短期トレーダーに好まれている手法です)。
移動平均線とは、一定期間の株価の終値の平均値をつなぎ合わせた折れ線グラフのことです。
例えば、10日移動平均線であれば10日分の終値を合計して10で割った株価を求めます。営業日が1日進む毎に直近10日分の終値の平均株価を求めていき、その10日分の平均株価を繋げた線を「10日移動平均線」と呼びます。
10日移動平均線よりも現在の株価の方が高ければ、過去10日間の平均に比べて、株価が高くなっているということが一目でわかります。
最終的な結論として、シーゲル博士は「バイ&ホールド」には勝てないという立場を貫いており、移動平均線はあくまで目安程度に留めておいた方が良さそうです。
- 緑の線=25日移動平均線
- 紫の線=50日移動平均線
- 赤の線=75日移動平均線
今のS&P500はいずれの移動平均線よりも高くなっており、少し相場が加熱していることが伺えます。
逆に2015年8~9月、2016年1~2月の株価は移動平均線よりも下回っており、バイ&ホールドをしたい人にとっては良いタイミングでした。
繰り返しますが、あくまで移動平均線は一般的な目安であって、これを信じて、短期的な売買を行ってはいけません。
ドル・コスト平均法で購入するとリスクが大幅に減る
S&P500等の株式は500社に分散されているとはいえ、価格変動がとても大きいという特性を持っています。過去のデータでは、S&P500は1年で±37%程度の上下運動があり得ます。
もしある一時期に一点集中で購入した場合、運悪く高値で掴まされると、プラスの収益に到達するまでに時間がかかってしまいます。
そこで長期投資家の間でよく使われている購入手法が「ドル・コスト平均法」(定額購入法)です。一度に購入せず、資金を分割して均等額ずつ定期的に継続して投資します。
例えば「予定資金を12分割して、月末ごとに資金の1/12を投入し、一年かけて全量を買う」という手法です。価格が高い時は購入数量が少なく、安い時には多くなるため、単純な数量分割に比べ、平均取得単価が下がるというメリットがあります。
価格が下がった場合のみならず、上がった時にも買う点で難平(ナンピン)買いとは異なります。
ドル・コスト平均法は、シーゲル博士が推奨している「配当金をひたすら再投資する」という手法とも相性が良い点にも注目です(S&P500の配当金支払いは年4回です。博士のアドバイスに従えば、結果的に年4回、配当金をドル・コスト平均法で購入することになります)。
参考までにドル・コスト平均法を下記に図解で示します。比較のために「定量購入法」も併記します。
<定量購入法>
毎回10株と決まった数量を買い付ける→購入価格が毎回変わる
<ドル・コスト平均法(定額購入法)>
毎回1万円と決まった金額で買い付ける→購入株数が毎回変わる
市場株価がどのように動いても、定量購入法よりもドル・コスト平均法(定額購入法)の方が平均購入単価が安くなります。一見、不思議に感じるのですが、理屈は簡単です。
ドル・コスト平均法は毎回1万円と投入金額を固定しているので、株価が割高になっている時は購入株数が少なくなり、反対に割安になっている時は購入株数が多くなります。その結果、平均購入単価が下がるというカラクリです。
さて、次回のメルマガでは「S&P500を購入する際に割安・割高は本当に関係ないのか?」という点について、ベンジャミン・グレアムの観点に立って、インデックス投資への適用を試みます。「シーゲル博士 vs. グレアム師匠」の対決です。乞うご期待願います。
『ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』(2017年2月12日号)より抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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