今、アパホテルの周辺がずいぶんと騒がしいことになっています。「南京大虐殺や従軍慰安婦は存在しなかった」という珍説を語る本を客室に置いていたため、中国人から大ブーイングを受け、やめておけばいいのに反論してしまったので、アパホテルの経営が傾きかねないギャグのような展開を迎えているのです。会長がゴリゴリのネトウヨなせいで大きく売上を落としそうなアパホテル騒動、わかりやすく解説したいと思います。(『原発ニュース最新情報』ちだい)
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安倍政権と仲良し、アパ渾身の「歴史改変モノ」は地雷ラノベだった
事の発端は、珍説歴史本を客室に置いたこと
そもそもアパホテルの元谷外志雄会長は、ゴリゴリのネトウヨおじさんです。ポジション的には「右翼」と「ネトウヨ」の中間くらいですが、ネトウヨ界のアイドル・田母神俊雄閣下をスターダムにのし上げた人物こそ、元谷外志雄会長でした。
田母神閣下が有名になったキッカケは、2008年にアパホテル会長が主催した「第1回・真の近現代史観」懸賞論文です。ここで田母神閣下が航空自衛隊のトップとは思えないゴリゴリのネトウヨ論文を発表したため、大騒動に発展し、幕僚長をクビになるという鮮烈なデビューを果たしました。
その後ニートになった田母神閣下は、公職選挙法に違反して運動員にギャラを払う斬新な選挙戦術を展開し、東京都知事選挙や衆議院議員選挙に続々と立候補。応援演説にはデヴィ夫人や「アパホテルの帽子のBBA」こと元谷芙美子社長らが加わり、日本を変えられるのは田母神閣下しかいないとアピールしたのでした。
確かに、田母神閣下が都知事になっていたら、東京で学ぶ子どもたちの歴史教科書が修正され、歴史が書き換えられる的な意味で日本が変わったかもしれません。当時はアパホテルの客室に田母神閣下の本が置いてあって、出張先のアパホテルでうっかり感銘を受け、田母神閣下に清き1票を投じた人が全国に3人ぐらいいたかもしれません。
客室に珍説本を置くようになったのは昨日今日の話ではなく、最近まで気づかれなかっただけなのです。
南京大虐殺や従軍慰安婦は存在しなかったのか
アパホテルの元谷外志雄会長が主張するのは、「南京大虐殺や従軍慰安婦は存在しなかった」という歴史です。
僕も日本人なので、できれば無差別に人を殺しまくるサイコパスな出来事は嘘であってほしいし、女性たちを無理矢理に性奴隷にしていたなんて話は恥ずかしくて聞いていられません。こんな黒歴史は抹消したいし、なかったものだと信じたい。
しかし、未来を変えることはできても、過去を変えることはできないのです。
南京大虐殺は、日本側の資料だけで存在が証明されてしまい、日本と中国で話が噛み合わないのは「殺害された人数だけ」という状況です。今さら南京大虐殺をなかったことにするのは珍説中の珍説で、歴史資料を完全に無視した「小説」みたいな話です。
従軍慰安婦の問題については、日本側はその存在を認めないように頑張っていますが、そもそも「私は従軍慰安婦だった」と主張する女性がたくさん存在しており、先日も従軍慰安婦像の問題でゴタゴタしましたが、日本政府が従軍慰安婦だった女性のために10億円を拠出している以上、日本政府がまったく認めていないという話でもありません。
ちなみに、「韓国の女性たちが志願して従軍慰安婦になったのだ」と主張する人もいますが、経済的な理由などで自ら従軍慰安婦に志願した女性がまったくの0人だったとは言いませんが、「私は強引に連れて行かれた」「私は日本軍に強姦された」と主張する女性がたくさんいるのであれば、それを否定するのは難しいと思います。
昨今のAV業界がそうであるように、だいたいのAV女優が自分でAV女優の道を歩んでいたとしても、自分の意思に反してAV女優にさせられた人がいたのなら、それはよくないことなのだと思います。どうやら自分の意思ではない人がたくさんいた疑いがあるので、否定すれば否定するほど反発は大きくなります。
従軍慰安婦の問題については、日本側が必死に認めない姿勢を貫いているので置いておいたとしても、南京大虐殺は日本政府が公式に認めている負の歴史です。
証拠が十分に揃っている以上、これを否定するのは頭がイカれていますが、ネトウヨというのは都合の悪いことは無視できる素晴らしいスキルを持っているので、「証拠が残っているんだから歴史を覆すことはできないよ」と教えてあげても、「うるせぇ、パヨク!」で終了です。
そんな人たちに小学校で習う歴史の話を教えてあげるほど暇ではないので、多くの人は「勝手に言ってろ」になるのですが、アパホテルはこれで経営が傾きそうになっているのだから、完全にギャグです。