米国の狙い通りに進むシナリオ
今回の選挙では米国の意向が随所に見られ、それを安倍政権が実行するには、かなり厳しい選挙になると見られていたのが、あに図らんや、まんまと米国の狙い通りになりそうです。
前原氏の動きも、小池氏の動きもあらかじめ計画されたもので、その通りに事が運んだとの見方があります。北のミサイル発射もピタッと止まりました。安倍総理の「選挙手腕」を超えた大きな力が背後で働いていた可能性があります。
その結果、自衛隊を米軍とともに活用できる法体制がつくられ、軍事費をいずれGDPの2%に引き上げ、その追加財源5兆円は消費税増税で賄うことになります。米国からすれば、窓口が安倍総理でも小池氏でも良いのですが、安倍総理の方が使いやすいということのようです。これからしばらく日米合作シナリオが行き着くところまで展開されます。
国内の矛盾は「臨界点」へ
しかし米国の力が強ければ強いほど、国内でのギャップ、矛盾が露呈する可能性があります。憲法改正に賛成する国民は半分以下のようですが、国会では改憲派が圧倒的多数となります。内閣支持率は低下し、自民党の支持率も30%あるかないかですが、自民党が6割もの議席をとりそうです。1位がすべてをとる小選挙区制の歪みもあります。
アベノミクスの支持率は不支持率を下回り、金融緩和策にも金融機関や国民から悲鳴の声が聞かれます。その声も反映されずに、一段のリフレ策がとられそうです。この世論と政策の歪み、ギャップが選挙を受けて一段と拡大しそうです。
ただ、今回の選挙ではこの「歪み」が爆発しないで済みそうで、それだけ選挙のプロ、参謀が与党周辺にいたようです。
しかし行き着くところまで行ってしまうと、カリフォルニアの山火事のように、収拾がつかなくなります。そこまで行かないと尻に火がついたことに気づかない日本人が多いのか、日本人は「もり・かけ」クラスの権力私物化には寛容なのか、よくわからない国民性です。
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『マンさんの経済あらかると』(2017年10月13日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。