小池氏の「劇場型行動」で相場はどうなる?
現有議席322議席 → 小池氏の挑発を見せ場にする「劇場型政治」以前の見込みは280議席(30~40議席減)だった → 小池劇場で過半数(233議席)割れの可能性 → 投開票の結果待ちで動けず、というところだろう。シナリオは、本稿起草中の9月30日0時現在、次の2通りある。
シナリオ1:小池出馬、安倍三選なし
参院選までは何も決まらず不透明(市場は常に不透明なものだが、政治不透明を最も嫌う)。
シナリオ2:小池出馬せず、安倍三選
消費増税に向けた景気刺激策(官僚も乗る) → 株高。
単純に分けるとこの2通りのシナリオだが、本稿起草中の現時点では(2)はなさそうだ。
【図6】2017年相場は「悲観(警戒)」→「楽観」→「膠着」を繰り返す
10月からの決算発表期待が下値を支え、一方で「選挙は買い」の期待先行から投票日に向けての警戒へとなれば、膠着相場となってこよう。株式市場以外では、債券市場での日本国債のCDSが上昇するなど警戒への変化がでてきている。現在の相場が楽観か悲観か「相場は相場に聞け」の姿勢が必要となろう。
昨年夏に小池氏が都知事選に立候補した際、「将来の攪乱要因になる」と筆者が東洋経済のコラムで述べたとき、多くの人々から「株屋上がりの評論はこんなものか」とか「劇場型政治とは情報開示・公開のことだから結構ではないか」という揶揄と非難を浴びた。少数の人々からは「よく言った。切れのいい言い分は痛快だ」という意見も頂いた。今まで当メルマガ「週報」を通しての意見ならすべてを選ばず本稿に掲載することにしてきたが、個人的な揶揄や称賛は黙殺した。
筆者が「劇場型政治」と言うのは、小池氏のように標的を作って挑発し、喧嘩を売って見せることによって注目を集め、集票力とすることである。都知事選の時も「組織 vs 小池個人の勝負をご覧あれ」と何度も言った。
ケンカというものは、見ていて一番面白いものだ。筆者自身も電車内や駅構内で喧嘩が始まると、野次馬の先頭に立って見物している。警備員が来て仲裁に入ると残念がる。そんな程度を劇場型と言ってきた。情報の公開・開示を言うのではない。故意に敵を作って、挑発して、世間の注目を集めるやり方だ。
現に小池氏は、魚河岸も五輪も、ただかき回しただけに終始した。また彼女は、普天間基地の時の防衛大臣でもあった。かきまわし専門で、建設的な政策は聞いたことがない。
上野動物園のパンダの赤ちゃんの名前決定の発表を、動物園長にやらせず、小池都知事が自らやった。多分、「私にやらせて!」と言ったのだろう。あるいは、彼女を知り抜いている誰かがゴマを擦って提案したのだろう。1200万人の都政を預かる者が血道を上げることではなかろうに。
そういう能力には天才的に長けているのだ。故意に敵を作って挑発して見せて、大衆の目を引く。パンダの赤ちゃんを写させて、「かわいい!」と言わせて都民の目を引く。淀みなく喋るのに、失言はしない。避けるべき回答は毅然として避ける能力も人並みではない。その能力たるや、前原民進党代表などの及ぶところではない。好き嫌いと能力評価とは別物だ。
小池党の結党は、民進党の自壊作用を生み、党内に遠心力を働かせ、小池党に吸入力を作用させた。それは自民党に対しても例外ではない。小池氏と前原氏が合流に動いているようではあるが、好き嫌いは別として、能力と行動力だけは極めて優れているから、その吸引力はバカにはできない。そういう意味で、安倍政権に対しては大変な妨げとなる。
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※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報 「投機の流儀 (罫線・資料付)」*相場を読み解く』2017年10月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『山崎和邦 週報「投機の流儀(罫線・資料付)」』(2017年10月1日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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