今回の特集は、日韓慰安婦合意を韓国側を一方的に破ったことに対する、日本政府の対抗措置についてである。私は、日本政府は「遺憾の意」で終わらすと思っていた。多くの読者様も、日本が対抗措置に出るなんて信じられないと思っただろう。しかし、現実において日本は4つの対抗措置を出した。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2017年1月8日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
さらば韓国!日本を含む各国が「通貨スワップ協定」の延長を拒否へ
日韓慰安婦合意を破った韓国。日本の「4つの対抗措置」
今回の特集は、日韓慰安婦合意を韓国側を一方的に破ったことによる日本政府の対抗措置についてである。私は、日本政府は「遺憾の意」で終わらすと思っていた。多くの読者様も、日本が対抗措置に出るなんて信じられないと思っただろう。しかし、現実において日本は4つの対抗措置を出した。まずはこれから見ていこう。
日本の対抗措置
- 長嶺安政駐韓大使、森本康敬釜山総領事の一時帰国
- 在釜山総領事館職員の釜山市関連行事への参加見合わせ
- 日韓通貨スワップ(交換)協議の中断
- 日韓ハイレベル経済協議の延期
以上の4つである。私が特に注目したのは(1)と(3)である。
大使の一時帰国というのは、相手が非常に無礼な行為をしたときに行う批判である。韓国は日本に対して毎回やっているので、韓国ではこの行為の意味をそれほど理解してないかもしれない。だが、大使の帰国は戦争一歩手前に行う、いわば相手との国交断絶も辞さないという強い怒りである。この場合、一時帰国なので国交断絶までは行かないにしても、日本がこの措置に応じたことで韓国内で衝撃が走った。
いくつかの韓国メディアの社説や、韓国ネット上の韓国人の反応について情報を集めたのだが、「逆ギレ」ばかりであった。
約束を一方的に破りながら逆ギレする韓国
言うまでもないが、韓国の市民団体が釜山領事館前に新しい慰安婦像を建てたことは、「日韓慰安婦合意」及び「ウィーン条約」違反である。しかも、一度は撤去に動いたのに、国民からの反発が大きいことを理由に設置を許可するなど、衆愚政治のお手本のようなことをしてしまった。それで、日本政府と外務省がマジにキレたのだ。それが上の対抗措置ということだ。
しかも韓国政府の言い訳は、「市民団体が建てたもので合意違反ではない」というわけのわからないものだった。そのうえ韓国の野党は「人権、世界正義と争うつもりか」とさらに理解できないことを述べて、日本政府に謝罪を要求するという斜め上の対応を行った。
韓国野党の言い分の「世界正義」というのが何なのかわからないのだが、多くの国々は、国家間の合意を守ることこそ、互いの国を尊重してこれからも色々なことで協力していきましょうという意思表示だと考える。
韓国人は「正義」という言葉が好きだが、韓国人の中でしか通じない理論を日本人や他の他国に持ってこられても、正直、迷惑である。これが次期政権の与党になるわけだから、日本政府が危機感を抱くのもうなづけるだろう。政権が変われば「日韓慰安婦合意」「THAAD配備決定」が覆されるなんてことは、あってはならないのだ。なので、アメリカも日本にゴーサインを出したのだ。実のところ、本当に焦っているのは「アメリカ」だと私は考えている。
以前、朴槿恵政権の抗議デモが北朝鮮や中国の勢力によって操作されたものだと指摘したが、目的は日韓慰安婦合意の破棄だけではなく、THAAD配備決定の先送りである。日韓慰安婦合意を守らせることは、THAAD配備決定も覆せないことにつながる。実際、THAAD配備決定が先送りされそうな動きがすでに出ている。正月に野党の議員が訪中しているわけだ。
日韓慰安婦合意すら守れない韓国が、THAAD配備決定を先送りすることは必至。そこで日本は対抗措置を取った。しかし、韓国政府は今の状況では、慰安婦像の撤去に応じないと思われる。何しろ、自分たちに非があるのに、逆ギレしているだけの状況である。もし撤去に応じない場合は、日韓通貨スワップ協定の交渉は中断したままとなり、日本人の大きな懸念は消え去ることになる。
日本の対抗措置以外は、ほぼ読み通りの展開だったことは言うまでもない。