過去15回の総選挙と日経平均株価の関係を調べると、13回は投票日に向けて上昇しています。だからと言って、今回も株価が上がると予想するのは早計です。(『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』)
※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』2017年9月24日号の一部抜粋です。毎週いち早く馬渕氏の解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。市場急変時には号外の配信もあります。
株価が上昇しやすい選挙前期間。だが今年は過去の例外と似ている
過去13回(15回中)は投票日に向けて上昇
過去15回の総選挙と、日経平均株価の関係を調べてみました(結果は既に拙著『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)には載せていますので、ご存知の方も多いと思います)。
投票日1か月前の日経平均株価と、投票日直前の金曜日の日経平均株価を比べてみると、投票日に向けて上昇したことが13回、下落したことが2回で、上昇が圧倒的に多いです。このため、足元でも株価上昇期待が生じたものと考えます。
なぜ株価が選挙に向けて上昇したのか?
ただ「なぜ株価が選挙に向けて上昇したのか」という背景要因が、とても大切です。
株価上昇の理由として考えられるのは、
- 通常は何らかの政策などが争点となって解散するので(たとえば、郵政民営化の是非を問いかけた2005年9月の選挙)、選挙をきっかけに経済に好影響を与える政策が動くのではないか、との期待が生じやすい
- 総選挙で政権交代が予想された場合、新政権がこれまでの政権より踏み出した経済政策を打ち出すとの観測が広がった(最終的にその観測が正しかったかどうかは別として)
などが考えられます。
しかし、だからと言って、今回も株価が上がると予想するのは早計です。というのは、今回は過去2回の、株価が選挙に向かって下落した時と状況がよく似ているからです。
過去2回「選挙に向けて株価が下落」した状況とは?
株価が下落したのは、1980年6月と、2014年12月です。
1980年は、野党が内閣(大平首相)および与党自民党を批判する姿勢を示すため内閣不信任案を提出するが、まさか可決されないだろうと考えていたところ、自民党内での抗争が激化し、自民党から多くの棄権者が出たため、思いがけず可決したことが選挙(1980年6月22日投票)のきっかけとなりました。いわゆるハプニング解散です。このため、選挙となる大義名分が乏しく、しかもその前の選挙(1979年10月7日)から間がなかったため、選挙をやる必要性が感じられず、それで政策が動くとも感じにくかったわけです。
2014年12月14日の総選挙については、消費税引き上げを延期する方針を安倍首相が打ち出し、その是非を国民に問うためとして、解散総選挙となりました。ただ、国民で消費税が上がって喜ぶ人はいない(消費税引き上げを延期するのは、選挙などやらなくても賛成する人ばかり)でしょうから、やはり何のために選挙をするのか、必要性が感じにくかったと言えます。
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