「日本は生産性が低い、もっと合理化を」という論調をよく見かけますが、この国際比較は意味がありません。生産性の国際比較を得意気に言う人はほとんどがデタラメです。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)
「生産性」の拙い議論こそ日本のデフレとブラック労働の元凶だ
「日本人はもっと働き方を合理化せよ」という論調の問題点
今日、「日本のホワイトカラーは生産性が低い」と著名な評論家が書いているのを見かけました。要するに、働き方をもっと合理化せよという話です。これは、日本人の国際的な「自虐感覚」につけこんでいますね。
欧米では、サービス残業はしないし、さっさと辞めてしまうので、ブラック企業も存在しにくいです。日本人みたいに、きっちり働いていないです。会社では、ボスが見ていないと仕事をしていなかったり、給湯室の備品がすぐになくなっていたり…そういう状況です。
一方、日本のホワイトカラーの質は高く、会社の仕事はきっちりとこなしています。おそらく全体的には、世界の先進国でトップクラスでしょう。サービス残業までしていますから、「身を切って」会社の生産性の向上(=経費の削減)に貢献しているわけです。
つまり合理化は、全体的には、日本のホワイトカラーが最も進んでいるでしょう。
本当の問題は「逃げ場がない」こと
この問題の背景は…。日本では、低所得者への給付が欧米先進国のようになっていないので、ホワイトカラーの逃げ場がないということです。
ですから解決方法は、欧米のように低所得者への幅広い給付を行って、失業をサポートする。それによって、ホワイトカラーが仕事先を選べる余裕を生じさせるということです。すると、「生産性が高い」仕事を選べるようになります。
また欧米のように、観光客がたくさんやってくるよう、国や経済団体が取り組むことです。すると、今とまったく同じ仕事をしていても、売り上げが多くなったり、サービス残業しないでそのまま報酬をもらえたり、となります。
要するに、この「ホワイトカラーの生産性」論議は、ホワイトカラー個人個人に責任を転嫁するだけの、タチの悪い話であるわけです。それが、「国際水準」の自虐傾向のある日本で、それらしく話されているわけです。またまた、「欧米が優れていて、日本は劣っている」というゴマカシですね。