中国ネット通販最大手・アリババの「クラウド事業」について解説します。驚異的なスピードで成長しており、将来的には同社の稼ぎ頭の1つになるでしょう。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2017年9月12日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:シバタ ナオキ
SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
Amazonの先行サービスを超えるか。クラウド事業の将来性を読む
アリババが積極投資する「クラウド事業」
今回は、世界最大のEコマースマーケットプレイス、アリババのクラウド事業について詳しく見てみたいと思います。
クラウド事業といえば、AmazonのAWSを思い浮かべる方も多いかと思いますが、AWSに相当するものが、アリババの「アリババクラウド」と呼ばれる事業です。
オリンピックのワールドクラウドサービスパートナーにもなり、アリババが積極的に投資をしている分野です。
サービス内容的には、AmazonのAWSとほとんど同じものが主要なサービスとして提供されていますが、アリババクラウドは、中国や東南アジアでシェアを伸ばしつつあります。
早速、直近の決算資料から、詳しく見ていきたいと思います。
四半期売上が約359億円(YoY+96%)
まず売上を見ると、2017年4月~6月の四半期で24億元(約359億円)、YoY +96%と非常に大きな成長を見せています。
利益率がまだ-4%と、赤字のセグメントではありますが、利益率がYoY+9ポイント改善しているように、黒字化の目処が十分に立っている段階と言えるでしょう。
AWSは、四半期売上$4.1B(約4,100億円)、YoY +42%でしたので、売上規模で行くとAWSの10分の1程度、成長率で行くとAWSの2倍以上早いスピードで成長しているという計算になります。
有料顧客数がYoY+2倍へ
「Alibaba’s cloud base doubled in just 12 months」という記事を見てみます。
この記事によると、有料顧客数が100万社を超え、YoYで+2倍以上になっているという記載があります。
中国だけではなく、最近ではインドやインドネシアに新しいデータセンターを開設しており、東南アジアでのマーケットシェア獲得にも余念がありません。