2015年2月12日、安倍政権の経済・財政政策の基本方針を決める経済財政諮問会議で、黒田日銀総裁が重大なオフレコ発言を行いました。「日本国債はもうダメかもしれない」というのです。この発言は当初、多くのメディアで報じられましたが、その記事の多くは官邸の情報統制によって削除されてしまいました。(『カレイドスコープのメルマガ』)
※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2016年12月12日第185号パート2の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。割愛した全文や、配信済みのパート1、パート3もすぐ読めます。
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日銀・黒田総裁と日本国民を待ち受ける、確実かつ悲惨な未来
政府のタブーに触れたNHKの「預金封鎖」
2015年2月16日、NHK『ニュースウォッチ9』が、「預金封鎖 もうひとつのねらい」という特別番組を放送して大きな反響を呼んだことを覚えているでしょうか。
70年前の同じ2月16日に、政府が国民の資産を強制的に没収した結果、多くの餓死者まで出した蛮行について報じた番組です。
終戦後、政府はハイパー・インフレを防止するという名目で、(当時の貨幣価値で)10万円を超える資産に、最高90%の財産税を課税することを決定しました。
敗戦によって、破滅的状態にあった政府の財政を救済するため、突然、預金封鎖を行い、国民が銀行に預けてある預金の名寄せを行ったのです。
名寄せは、国民ひとりひとりが、いくらの資産を持っているか把握するために必要な作業です。そのため、銀行から預金を引き出せないようにして残高を固定する預金封鎖が行われたのです。
番組は、当時の大蔵官僚の証言を引用して、「もともと戦争で1億総餓死するつもりだったのだから、国の借金を返すためなら、多少の餓死者が出たっていいじゃないか」といった政府内部の意思決定権者の談話を紹介しました。
ときの政権と政府内部の人間たちは、銀行からお金を引き出すことができなくなって国民が飢え死にすることを承知の上で、預金封鎖に踏み切ったのです。
この、わずか8分程度の番組は大きな衝撃をもたらしました。そして、この番組の司会を担当した大越健介キャスターは、放送約1ヶ月後の3月27日に番組を降板します。
この事実上の更迭は、多くの人々の憶測を呼び起こしました。いちばん多かったのは、「大越キャスターは原発報道を積極的にやっていたから」というものでした。
言うまでもなく、この番組で報じられた過去の政府の恥部は、まさに現在のアベノミクスの息の根を止めかねないタブーでした。日銀が異次元の金融緩和を続けていけば、やがては預金封鎖せざるを得ない事態に陥ることは明白だからです。
現在の政府負債は、終戦直後と同じ
当時の政府債務残高は、GNP比で2倍に膨れ上がっていました。
GNPとは、国民総生産(グロス・ナショナル・プロダクト)のことで、その国の国内でどれだけの付加価値を生産できるのかを示す目安になる数字です。グローバリゼーションが進んだ現在は、GDPが使われていますが、当時は、どの国でも、国力を示すモノサシとして、このGNPが使われていたのです。
現在の政府債務残高は、GDP比で2倍以上と、当時の状況と酷似しています。
なぜ安倍政権が、国民の言論を圧殺する特定秘密保護法や共謀罪の成立を急ぎ、目的の不明確な日本版FEMAの設置を焦っているのか、それは、政府が国民から富の収奪をつつがなく行うために必要なことだからです。
このことについては、メルマガ第148号「ハイパー・インフレ、預金封鎖、資産税への道」を読み返してください。
黒田オフレコ発言「日本国債は、もうダメかもしれない」――
アベノミクスの「3本の矢」の肝である「成長戦略」が、何ら実体のない口約束に過ぎないことが分かった日銀・黒田総裁は、このNHK特番が放送される4日前、安倍政権の経済・財政政策の基本方針を決める「経済財政諮問会議」の席上で、重大な発言を行いました。
いわゆる日銀・黒田総裁の“オフレコ発言”です。
このことは、多くのメディアでも報じられていましたが、その記事の多くは官邸の情報統制によって削除されてしまいました。