当マガジンは日経平均の妥当な水準として統計的処理で求めた理論株価をもとに、足元の相場の位置づけを評価する材料を提供するものです。原則として日経平均と理論株価の位置関係を示すグラフと表に若干のコメントを合せて毎週1回配信いたします。皆様のより良い投資成果のための一助にして頂ければ幸いです。
※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)
プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。
日経平均株価、12/9大引け時点の理論株価は1万8000円ジャスト
年初来高値を更新、注意領域に
日経平均は11月9日に1万7,000円を割った直後に急回復した後上昇を続け、ちょうど1か月後の12月9日に1万8,996円と年初来高値を更新するまで駆け上がりました。
下図は前回講座でご紹介した8月以降の日経平均と理論株価、併せて通常変動の上側と下側の推移を示したグラフです。
前回講座(12月5日時点)では高値の注意領域である通常変動の上側まで日経平均は350円の余裕があり上昇の余地はあるとしましたが、その後の4日間でこれを超え470円上昇し一気に通常変動の上側を超えました。トランプ相場の上昇エネルギーは依然強いように見えます。
日経平均、理論株価と通常変動の上側と下側
2016.8.1~2016.12.9
日経平均は紺色、理論株価は青色で通常変動の上側と下側を赤線で示しています。茶色の縦線は前回講座の12月5日時点を示します。
11月の後半からドル高が一服、業績(予想EPS)も足踏みすることで理論株価がほぼ横ばいで推移する中で急上昇したことで、日経平均は12月9日に通常変動の上側を170円上回り、高値の注意領域に足を踏み入れました。
ただし、“注意領域”を超える反転警戒の臨戦態勢に入る“変動上限”は1万9,641円で、まだ600円程度の余裕があります。
とは言え、近時の相場変動の上昇速度を見ると、理論株価(とそれによって決まる変動の上限)の決定要因である為替と業績の動向と相場変動のスピードを両にらみで注視する必要がありそうです。
『投資の視点』(2016年12月11日号)より一部抜粋
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