10~15兆円の財政政策で、ようやく物価が1%上がる
では、物価(CPI)の変化率と、GDPギャップとの間にどんな関係があるのかを、統計的に(重回帰)分析してみると、次のような関係式が示されました(1990年第一四半期から2997年第一四半期までのデータを使用)。
半年後のCPI変化率 = 0.28 × GDPギャップ + 0.117 – 0.02 × seq(※)
(6.33) (9.43) (-2.21)
※seq:1990第一四半期が1の連続自然数。()内はt値、R値は0.71、n=105
※データはいずれも四半期のものなので、年率換算の比率は上記数値と一致
これはつまり、CPIを年率1%上げるためには、GDPギャップを年率で3~4%程度大きくすることが必要だ、ということを意味しています。そして、GDPギャップを3~4%大きくするということはつまり、需要を15~20兆円(年)程度を拡大するということ。
ということは、単純に考えれば、政府支出を15~20兆円程度拡大すれば、CPIは1%拡大する、ということになります。
実際には、乗数効果(政府支出を1兆円増やせば、GDPは1.5~2兆円程度増えるという効果)があることを考えれば、10~15兆円の政府支出を拡大すれば、CPI、物価は1%程度上昇するだろうということが予期されることとなります。
そして言うまでもありませんが、物価が上がらなければ、賃金も増えず、ビジネスチャンスも拡大せず、投資は冷え込んだままとなり、デフレ不況は終わりません。
だからこそ政府は今、10~15兆円規模の大型の補正予算を組むことが、デフレ脱却のために是が非でも求められているのであり、それは、内閣府自身が公表しているデータから統計的に指示されているのです。
そして、日銀のターゲットが「2%物価上昇」であることを踏まえるなら、そのクラスの大型景気対策を、少なくとも2、3年間は継続することが必要なのです。
政府が理性的な経済財政政策を展開されんことを、心から祈念したいと思います。
『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年8月8日号より
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