安倍総理には財務省を敵に回すだけの合理的な理由がある
「消費税減税」は、有識者の常識からすれば奇策、邪道かもしれないが、
「民進党、共産党、小沢さんも反対ではない」
「自民党内には反対する人がいる」
「今やるべきこと」
など、田原総一朗氏が示唆した条件をすべて満たす数少ない政策であることは間違いない。
見誤ってはいけないのは、安倍内閣が目指しているのは「(できるだけ早く)支持率を回復させる」ことであり、必ずしも総理の「人柄に対する信用を回復させる」ことではない、という点だ。
「消費税減税」に対しては強い反対論が出ることは間違いなく、支持率が急回復するかは定かではない。しかしそれは、財務省や有識者たちを味方につけるか、アベノミクスの恩恵を感じていない多くの国民を味方につけるかという選択の問題でもある。
そして今の安倍内閣にとっては、アベノミクスの恩恵を感じていない多くの国民を味方につけたほうが「支持率の回復」には近道なのは間違いない。
「消費税減税」によって「増税マインド」が薄れ、個人消費を喚起することができれば、「政策に期待が持てる」という評価とともに支持率が上昇する可能性は十分に考えられる。
減税によって家計に余裕が生まれ、それが安倍内閣の支持率を上昇させ、さらにそうした提案をした田原氏のジャーナリストとしての評価が高まれば「三方よし」となる。安倍総理に批判的であった田原氏がわざわざ敵に塩を送るような行動に出たのも、その提案が「三方よし」だと感じたからに違いない。
「消費税減税」は、財務省を中心とした財政規律派を敵に回す大きなリスクを負う「冒険」だが、危険水域まで支持率が急落し政権基盤が揺らいでいる安倍総理にとっては、「政治生命をかけた冒険」として決して悪くない選択肢であるはずだ。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年8月3日)
※太字はMONEY VOICE編集部による
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