安倍首相が17日、ニューヨークでトランプ氏と会談しました。日本のメディアは安倍首相と寿司友なので、「さすが安倍総理!」しか言いませんが、この会談をキッカケに、少し日本とアメリカの未来が見えてきましたのでコラムを書きました。マスコミの言うことをそのまま信じるのではなく、その奥にあるものを見ていきたいです。(『原発ニュース最新情報』ちだい)
マスコミが報じない安倍・トランプ会談、日米関係はどうなる?
日本のジャーナリズムは死んでいる
日本経済を握っている経団連の皆さんにとって、TPPは悲願でした。農家が打撃を受けようが、国民皆保険が壊されようが、今、日本の経済を回している大企業の皆様にとっては、関税や規制がなくなる方が「おいしい」からです。
どこぞの片田舎で丹精込めて米を作られても、自動車の方が高く売れますし、「弱者が困るのは弱者だから」としか思っていないので、いちいち気遣うことはありません。
しかし、どんなビジネスでも、目先の利益を追い、誰かを不幸にするやり方は長い目で見ると失敗します。TPPは短期的には日本企業にもメリットがありますが、30年、50年という長い単位で見た時に、庶民の生活が完全にぶち壊され、TPPにギブアップしても、一度入ったら抜けさせてもらえないヤクザな話が待っていました。
きょうび、ヤクザの世界でさえ指を詰めて保険金を納めればカタギになれるのに、それを認めないのがTPP。そのヤバさを象徴するのが、TPPのポジションです。アメリカでは憲法の下に位置づけられているのに、日本では憲法の上に位置づけられる国際条約となっており、日本の憲法が何を言っていても関係ないのがTPPだったのです。
もちろん、途中で脱退する自由なんてあるはずがありません。これはスゴいです。日本で「憲法を変える」と言った日には、間違いなく国会の前にたくさんの人が集まり、山本太郎の必殺コント「一人牛歩」ぐらいは見られたことでしょう。
ところが、「憲法より上」という国際条約にもかかわらず、自民党・公明党・日本維新の会の強行採決でTPPの参加を決められる世界。どんだけ頭がイカれているのでしょうか。
しかも、企業からの広告料で運営されているマスメディアの皆様は「TPPはヤバい!」なんて一言も言いません。下手にTPPの真実を報じて広告料がもらえなくなったら、高給取りの社員たちが家のローンの心配をしてしまう。
いまや「ジャーナリズム」なんて、中東に行って拘束されるマヌケな三流記者が追い求めているものでしかなく、大手の新聞やテレビ局には「ジャーナリズム」のジャの字も残っていません。
なにしろ、福島第一原発事故という日本史に刻まれるレベルの大事故が起きた時に、真っ先に東京電力様の広告料がもらえなくなることを心配して、「メルトダウンなんてしているはずがない」「放射性物質が首都圏にも降るなんて恐怖心を煽る悪質なデマだ」と言い放ち、まだ放射性ヨウ素がモリモリ放出されまくっている中、「子供は外で遊ばせるべき」と社説を述べていた無能の極みが、日本のメディアの皆様です。
ほら、ジャーナリズムなんて残っていないでしょう?
トランプはバカな男じゃなかった!
日本のメディアは、さすがに政治経験のないトランプみたいなオッサンが大統領になるほどアメリカの国民が夢を追うことはないだろう、いくら何でも現実的なところを考えたらクリントンが大統領になるに違いない。そんな先入観のせいでデータを正しく分析できず、結果として、トランプが大統領になることを全然予想できませんでした。
ある論客は「アメリカ国民はバカばかり」と吐き捨てていましたが、バカは想定もできなかったオマエだろうって話です。
確かに、トランプは「メキシコとの国境に壁を作る」や「イスラム教徒は入国させない」など、過激な政策を掲げていました。ここだけ切り取ったら、めちゃくちゃヤバい奴です。
しかし、メキシコから流れてくる麻薬に頭を悩まされている人もいるし、IS(イスラム国)に殺された兵士の遺族もいるわけで、本当に実現できるかどうかはともかく、「よく言ってくれたぜ、トランプ!」と熱狂的に歓迎する人もいるのは事実です。
ところが、日本のメディアは本気でクリントンが勝つと信じ込んでいたし、ヤバいオッサンを倒して女性初の大統領になるクリントンをドラマティックに演出したかったのだと思います。だから、トランプの良いところをほとんど報じてきませんでした。
その結果、大統領選の開票結果を見て、「アメリカが終わった」と考えるジャパニーズが続出。一瞬にして1ドル102円台まで円高が進んでしまったのは、日本のオジサンたちがパニックになっていたからです。
ところが、肝心のアメリカでは、トランプに期待する声は大きいのです。当たり前です、少なくとも半分はトランプに投票しているんですから。クリントンに投票した人でも、ほとんどの人は「ま、いいか」と思っているに違いなく、トランプ大統領誕生に白目を剥いて失神している人なんてマイノリティーです。
結果、アメリカ市場がオープンした瞬間から激しくドルが買われ、この原稿を書いている時点で1ドルが110円台まで円安が進み、円安に伴って日経平均株価も急上昇。これまでの「アベノミクス」とやらが、一体、何だったのかと思うほどです。こんなことなら最初からトランプを応援しておけば良かったんじゃないでしょうか。
日本のメディアがトランプのことを頭のおかしい過激なオッサンとしか扱わなかったばっかりに、多くの日本人がトランプを「ヤバい奴」と認識し、大量にドルを売り払うマヌケな暴挙に出たわけですけれども、トランプは曲がりなりにも億万長者になった人物であり、圧倒的多数のアンチに囲まれながら共和党の予備選を「泡沫候補」と言われるポジションから勝ち上がってきたオジサンなのです。「無能のイカれた金持ちジジイ」の一言で片付けてきた日本のメディアの方が無能です。
アメリカでは今、国民がまともな医療を受けられないほど経済が国を支配しており、クリントンが大統領になったところで貧富の差に拍車がかかるだけなので、トランプの方がマシだという判断をしたアメリカ国民は、けっしてバカではないと思うのです。
少しくらい過激な発言に目を瞑ってでも、アメリカの将来を考えた時にはトランプの方がマシだと選択したのでしょう。そう、僕たちは日本のマスコミによる「トランプは無能」という先入観を取り払い、もっとフラットな目でトランプを分析する必要があるのです。