再び動き始めた米中間交渉
しかし、米中間で交わされた「100日計画」が、少なくとも米国が納得するような成果を見ず、北朝鮮も核ミサイル開発を進めています。このため、米国側が中国に対して不満を持ち、ウイルバー・ロス商務長官はあからさまに米中間の貿易不均衡に対する不満を公然と表明するようになり、早急に「公平、公正で相互的な関係」を構築するよう求めるようになりました。
つまり、米中間の交渉時計は、秋まで止まっているはずが、早くも動き始めた感があります。つまり、中国が持つ5000億ドル強のドル建て債務が改めて「爆弾」になりうる状況となりつつあります。そこから考えられるシナリオは次の2通りとなります。どちらにしても円相場や日本株にも影響が及びます。
日本市場への影響必至。想定される2シナリオ
1つは米国の対中強硬論が前倒しされるケースです。習主席が共産党大会を乗り切れると見れば、前倒しで中国叩きを再開する可能性があり、その場合は中国の市場開放、資本規制の緩和、金融自由化を求めて中国を揺さぶる可能性があります。これは中国に大きな負担となりますが、中国がこれに利上げで対応すれば、金融引き締めも経済を圧迫します。
そこでは中国、新興国向けの配慮は後回しになり、15年夏のような新興国の通貨安、株安が再現される可能性があります。その引き金となりうるのが、丹東銀行以外にも、例えば4大国有銀行の1つにも、米国のドル決済市場から排除するケースで、ドルがとれななくなった銀行中心に市場は大混乱となります。その場合はリスク・オフとなり、円高が加速し、日本株が大きな調整を見る可能性があります。
もう1つのケースは、逆にFRBが――
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『マンさんの経済あらかると』(2017年7月26日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。