『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』は、めまぐるしく変化する世界の経済や市場の動きなどについて、ブーケ・ド・フルーレット代表の馬渕治好氏が分かりやすく解説するメルマガです。今回はアメリカ大統領選挙の情勢と日経平均株価の大幅下落をうけて11月9日(水)に配信された号外をご紹介します。
※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』2016年11月9日号外の抜粋です。毎週いち早く馬渕氏の解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。通常号は毎週日曜日配信です!
「トランプショック」で急速な円高・株安が進行、今後のシナリオは?
中長期的に経済面ではプラスの可能性も?
11/8(火)の米国株式市場や為替相場は、クリントン氏が有利と見込んでの先走りがありましたが、実際の選挙情勢は、トランプ氏が勝つ可能性が極めて高まっています。
※この号は日本時間11/9(水)午後1時頃の情報を基に執筆しています。
事前の情勢は、当メールマガジン11/6(日)付でも解説したように、ファイナンシャルタイムズの分析によれば、トランプ候補は、確実(世論調査で10%以上リード)な州の選挙人が147人、優勢(世論調査で5~10%リード)な州の選挙人が17人で、合わせて164人を固めた状況でした。
勝敗を分けるのは接戦の州ですが、このうち選挙人が多い、フロリダ(29人)、オハイオ(18人)では、トランプ勝利が確実だと報じられています。また、これに現在の開票結果で、トランプ氏が優勢な接戦州(ジョージア(16人)、ミシガン(16人)、ノースカロライナ(15人)、アリゾナ(11人)、ネバダ(6人))を加えると、接戦の州で、トランプ氏が111人以上を得そうです。
すると、確実および優勢な州(164人)+接戦の州のうち上記の現時点で優勢な州(111人)を合わせると275人となり、客観的に見て、トランプ大統領が誕生すると見込まれます。
トランプ候補勝利の場合のシナリオは、当メールマガジン第280号(11/6(日)付)と変わりません。そのまま下記に引用します。
「トランプ候補勝利の場合は、今後どういった政策が打ち出されるか全くわからないとして、当面(数日か数週間かわかりません)は、世界的に株価も為替相場も、かなりの波乱が生じるでしょう。
しかし、米国では「ポリティカル・アポインティー」(政治任用制)と呼ばれますが、政権が代わると、官僚の多くが交代します。日本でも、もちろん大臣や政務次官などは代わりますが、米国ではもっと下の層まで、ごそっと人が代わります。つまり政権交代は、政策に関わりたいと考える若い優秀な人たちにとって、チャンスでもあります。
そこで、トランプ氏の政策に共鳴するわけではないが、大いに政府機関で働きたい、という優秀なスタッフが集まることが見込まれるため、(それでも外交・安全保障関連の政策についてはかなり不安が残りますが)経済政策に関しては、余り悪い展開にならない可能性があります。もしこうした展開になれば、中長期的には、米国経済や株価について、明るい観測が徐々に広がってくるでしょう。」
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