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この夏、チャイナショック再来? 暗雲立ちこめる「米中密約」の行方=斎藤満

エスカレートする北朝鮮の挑発に、退けないトランプ

暗雲はこれに留まりません。米国は台湾に対して14億ドル余りの武器輸出を承認したために、北京政府はこの決定に激怒しました。フロリダでの密約のもとに、米中関係が平和で良好に進むかと思いきや、ここへきてにわかに緊張が高まってきました。そして7月4日の米独立記念日に北朝鮮が「レッドライン」を超えたと見られるICBMを発射しました。

翌5日に、トランプ大統領は中朝貿易が1−3月には4割も増えた点を注視、中国は米国とともに取り組んでいるのか疑問を呈しました。そしてヘイリー米国国連大使は、中国やロシアが北朝鮮への制裁を支持しないのなら、軍事行動も含め、米国は独自の道を開く、とけん制しています。

北朝鮮によるICBMの発射は、北独自の判断によるのか、米国ネオコン系の指示によるものか、諸説ありますが、その背後関係はともかくとして、結果として北が米国の言う「レッドライン」を超えてしまったことになり、米国も収まりがつかなくなり、それだけ中国に強い圧力がかかります。

米国自身、イランと北朝鮮を同時に攻めることはできず、口で言うほど北朝鮮への軍事行動は容易ではありません。しかし、仮に米国があえて北への軍事行動に出れば、中国の立場は完全になくなり、軍事行動の波紋は中国に甚大な問題を引き起こします。中国としても米国の軍事行動は阻止しなければなりません。

崩れはじめた「中国株高持続」のシナリオ

秋の共産党大会を無事に乗り切るまで、米国は経済、市場での混乱は避け、習近平主席に協力するというのは、あくまで中国が「密約」を履行することが条件です。その履行が不十分となれば、話は変わります。米中冷戦を習主席の下で行う前提は変わらなくても、共産党大会までの米国の協力の形は変わりうるものです。

秋の共産党大会までは静かな株高持続、共産党大会後に調整、というシナリオが崩れると、人民元の下げ、株価の調整前倒しとなる可能性も出てきます。

このところの米国の「いらだち」は、明らかに中国への不満の表れで、それに中国が応えられないと、経済、市場を通じて中国はコストを払わされることになるかもしれません。

それはおのずと周辺国の市場にも跳ね返る可能性があります。当面は都議選大敗で混乱する安倍政権とともに、米中関係の緊張高まりによる市場不安にも目配りが必要になりそうです。
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※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2017年7月7日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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マンさんの経済あらかると』(2017年7月7日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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