先週の段階では、テーマは「12月利上げ」と信じて疑いませんでしたが、ドル円相場の値動きを見ればお分かりのように、もはやほとんどすっ飛んでしまいました!用意していた原稿を一から書き直し、直前情報を含めて改めて今夜の戦略を考えさせていただきましたので、ぜひお読みいただけると幸いです。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)
想定レートは1ドル=101~104円。ドルショート・戻り売りに分あり
今回の雇用統計における3つのポイント
単純な数字の良し悪しで相場が動くとは限らないのが雇用統計の難しさですが、今回は特にその傾向が強そうです。なので、まずは現在の状況と今回想定される値動き傾向について、以下に3つのポイントをまとめさせていただきます。
1. 最大のテーマは大統領選挙
市場の最大の注目ポイントは、11月8日に投開票が行われる米国の大統領選挙になってしまいました。ご存知のように、FBIによるクリントン候補への捜査が再開されたことが痛手となり、トランプ候補が急速に巻き返しているからです。いわゆるトランプ・リスクが高まりつつあることが原因です。
もっとも、11月3日時点のリサーチ会社の分析などによると、ほとんどが70%以上の確率でクリントン候補が勝利するとされてはいるんですけどね。ただ、先週末の捜査再開報道までは、クリントン候補の勝率は95%を超えるといった見方で動いてきただけに、市場もリスクを織り込まざるを得ず、ドル売りに傾いているのが現状となります。
ちなみに、バークレイズのストラテジストの推計によると、トランプ大統領誕生なら米国の株式市場は11~13%も下がるとされています。仮にこれだけ株価が下がるなら、株式市場の混乱を重く見て12月利上げが先送りされても不思議はありません。というか、むしろ利上げ先送りになる可能性が大です。
NYダウなら2,000ドル近く下がるわけですからね。とすると、大統領選挙の方がよっぽど重要な意味を持つわけで、今回の雇用統計は値動き材料になりにくいかもしれません。
2. ドル買いはかなり難しい
また、12月利上げ動向に目を向けると、Fedウォッチ(金利先物市場から想定される利上げの確率)から、ほぼ70%となっています。これが、90%を優に超えるレベルで織り込まれるようになれば話は違ってきますが、それは非農業部門雇用者数はもちろん、賃金上昇率なども予想を大きく上回る良好な数字が並ばなければ難しいでしょう。
とはいえ、非農業部門雇用者数が+30万人近い、あるいは超えてくるようだと、労働市場の緩み(スラック)を意味することにもつながりますから、良好過ぎる結果はかえって疑念を生み、ネガティブに捉えられる可能性が高そうです。
したがって、利上げ確率90%を超えるような雇用統計の数字は、実質存在しないといっても過言ではないため、今回の雇用統計が極端なドル買いを促す要因となることは、かなり難しいと考えています。