もう「株価買い支え」は通用しない
リーマンショック以降、日米欧中央銀行が競ってマネー供給を増やしてきましたが、ここにきて急速にその巻き返しが起きています。米国の量的緩和は既に終了し、今は2度目の利上げが間近に迫っています。
また、つい数か月前まではBrexitショックの対応の為に大規模な流動性供給をいとわないと発言していたECBも、先月来テーパリング(緩和縮小)の議論を始めたという話が漏れ始めています。
そんなこともあり、10月の世界の債券市場は、市場全体がリスクオフ気味にも関わらず、中央銀行の買い入れ減額懸念で大幅に売られています。
そんな中で、実は最も過激なテーパリング(緩和縮小)を行っているのが日銀なのに、当の日銀関係者が「これは引き締めなんかじゃなくて緩和の強化なんだよ。君たち信じなさい」と言ったばかりに、それをいまだに信じ続ける投資家やメディアが少なからず居るのです。
そんな楽観的でお人好しの人たちも、「日銀って、この1カ月でなんだかマーケットに冷たくなってない?」と不安にさせたのが、1日の会見だったのです。
元々、前回の日銀金融政策決定会合で引き締め&テーパリング(緩和縮小)の狼煙を上げたと思っていたら、1日の決定や会見は理に適ったもので全く違和感がありませんが、なまじ緩和に期待をしていたら、「急な梯子外し」に不安を覚えてしまうと思います。
当の日銀が緩和といっているというだけで、実質的に「金融引き締めのオペレーション」を行っているのに、こんなに長い期間ネガティブ視されないとは私は正直思っていませんでしたが、さすがの楽観主義者も1日の決定会合で何が起きているかを考えるきっかけになったと思います。
そういう意味で、今後日銀による「サクラ演出」的な株価買い支えは通用しなくなってくるでしょう。